君のいる世界 another story ～1～ (ページ47)

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「じゃないと俺どうしたらいいかわかんねえ、ごめん」

そう俺が発するとしばらくして

「…ゴメン」

蚊の泣くような声で、そう返って来た

「ゴメンじゃわかんねえよ。ちゃんと言ってみ？」

「ごめんね…」

ねえ、今Aは何に対して謝ってるの？

口調の荒い俺に対して？

それともあいつ？

「わかった。もういいから…」

これ以上口で話してもキリがない

そう思ったら

俺の腕は勝手にAの弱々しい身体を抱き寄せていた

俺の右肩がほんのり濡れていくのを感じながら

どのくらいそうしてたんだろう

多分10分くらいその場で佇んでる

珍しくAも抵抗したりしないで

素直に俺の腕の中にいて

何とも言えない充足感に包まれていた

「…落ち着いた？」

そう聞けば腕の中でコクリとうなずいてる

その頭が愛おしくて少し撫でて見ると

遠慮するように離れちゃうから

今度はその手を取って歩き出す

「手、振り払わなくていいから」

そう言うとまた素直に手を握り返してくれて

さっきの充足感が何倍にもなって戻ってくる

いい加減周りのことしないで思い切り俺に甘えて欲しかった

「俺らのことなんて、誰も見ちゃいねーよ」

「あれじゃん？道端で泣くとか、もうがきんちょ通り越してあかんぼなんじゃん？」

こんな憎まれ口しか言えないけど、おもえば俺とAはいつもこんな距離感で接してて

俺はいまその付かず離れずの距離を大幅に狭めようとしてる

今までの心地いい関係を保つのもそりゃアリだけど

それ以上にAを好きになりすぎててもっと近くにいたいと思ってしまう

Aもそうであってほしいって思いながら

しばらく黙って歩いた