検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:17,007 hit

37 ページ38

Aが消息を絶ってから1年半


とはいえ、タマにはちょくちょく返信が来てるらしく

タマはそれで安心してた


俺はというと、あの時から碧人ってやつに対する疑念が消えない

元はと言えば俺が軽率に会いに行ったからとか言われたら、そうなんだけど

Aはもしかしたらあいつになんかされてんじゃないかとか嫌な想像したりするけど

もう直接顔見ることすらできない今、そんな心配もするだけ無駄だった


あのあと何度も柴咲さんと飲みに行ったけど

「就職先が決まった」とか「取りたい資格が取れた」とか「専門を卒業した」とか

節目節目に連絡よこしたり、お店に顔出したりしてるらしくて

姿を消したのは俺の前からだけなんだって知った


俺もAのこと考えるのいい加減嫌になって

他の女の子と遊んだりしてたし

いいなって思う子と付き合ったりしたけど全然長続きしない

仕事でも空回りすることが増えて

デビュー前以来初めてミツに怒られたりもした



ミツはそんな時俺をよく飲みに連れて行ってくれる

相変わらず世話焼きだけど親身に俺の話聞いてくれるから

俺もついつい話しすぎる


「で?今回は何なの。」

ほら、俺がいい感じに酔って来た頃合い見て

話を聞き出そうとしてくる


「今回のは複雑すぎて朝までかかる。」

「アホか、お前。お前には話の要約能力とかねえのかよ」

そう言いながら笑ってるけど

いい加減に笑う気も起きなかった

そんな俺を見て笑うのをやめるミツ

「もしかして、Aちゃんのこと?」

何で知ってんだよ

「何で知ってんだよって思ったろ?ずっと前、タマと色々話してんの聞こえたんだよ。」

「そっか」

「でもニカお前いろんな子引っ掛けて遊んでたじゃん」

「…うん」

「そんなしょぼくれたガキみたいな顔すんなって(笑)なに、忘れらんないの?」

「俺は…単に心配なだけ」

「やっと口開いた。何で?何が」

「多分だけど、俺のせいでAの環境色々変えちゃったと思う。」

「どゆこと?」

「俺の憶測だけど、俺と会った日の直後から、バイトやめるわ部屋引き払うわで突然いなくなったんだよね。」

「でもタマとは会ってるらしいじゃん」

軽快に俺の傷口をえぐっていくミツ

「そう、別に何もないならいいんだけど。多分俺の考えすぎだし。」

いくら俺のことよくわかってくれるミツでも

俺のこの考えはわからないだろう

側から見たらただの女々しいやつだし

とにかくこの話を早く終わりにしたかった

38→←36



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (48 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
102人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:だだ | 作成日時:2017年5月15日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。