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Aが消息を絶ってから1年半
とはいえ、タマにはちょくちょく返信が来てるらしく
タマはそれで安心してた
俺はというと、あの時から碧人ってやつに対する疑念が消えない
元はと言えば俺が軽率に会いに行ったからとか言われたら、そうなんだけど
Aはもしかしたらあいつになんかされてんじゃないかとか嫌な想像したりするけど
もう直接顔見ることすらできない今、そんな心配もするだけ無駄だった
あのあと何度も柴咲さんと飲みに行ったけど
「就職先が決まった」とか「取りたい資格が取れた」とか「専門を卒業した」とか
節目節目に連絡よこしたり、お店に顔出したりしてるらしくて
姿を消したのは俺の前からだけなんだって知った
俺もAのこと考えるのいい加減嫌になって
他の女の子と遊んだりしてたし
いいなって思う子と付き合ったりしたけど全然長続きしない
仕事でも空回りすることが増えて
デビュー前以来初めてミツに怒られたりもした
ミツはそんな時俺をよく飲みに連れて行ってくれる
相変わらず世話焼きだけど親身に俺の話聞いてくれるから
俺もついつい話しすぎる
「で?今回は何なの。」
ほら、俺がいい感じに酔って来た頃合い見て
話を聞き出そうとしてくる
「今回のは複雑すぎて朝までかかる。」
「アホか、お前。お前には話の要約能力とかねえのかよ」
そう言いながら笑ってるけど
いい加減に笑う気も起きなかった
そんな俺を見て笑うのをやめるミツ
「もしかして、Aちゃんのこと?」
何で知ってんだよ
「何で知ってんだよって思ったろ?ずっと前、タマと色々話してんの聞こえたんだよ。」
「そっか」
「でもニカお前いろんな子引っ掛けて遊んでたじゃん」
「…うん」
「そんなしょぼくれたガキみたいな顔すんなって(笑)なに、忘れらんないの?」
「俺は…単に心配なだけ」
「やっと口開いた。何で?何が」
「多分だけど、俺のせいでAの環境色々変えちゃったと思う。」
「どゆこと?」
「俺の憶測だけど、俺と会った日の直後から、バイトやめるわ部屋引き払うわで突然いなくなったんだよね。」
「でもタマとは会ってるらしいじゃん」
軽快に俺の傷口をえぐっていくミツ
「そう、別に何もないならいいんだけど。多分俺の考えすぎだし。」
いくら俺のことよくわかってくれるミツでも
俺のこの考えはわからないだろう
側から見たらただの女々しいやつだし
とにかくこの話を早く終わりにしたかった
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作者名:だだ | 作成日時:2017年5月15日 19時