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お店のある路地を入ると

前から人影が足早に近づいてくる

すぐに柴咲さんと気づいたけど柴咲さんはそのまま走って通り過ぎようとするから

「柴咲さん!」

そう声をかけると

「二階堂くん!?ごめん!俺今めっちゃ急いでるから、用あったらAちゃんまだ店にいるしAちゃんに伝えといて!ほんとごめん!」

そう言うと俺の返事を待たずにまた駆け出して行ってしまった



Aしかいない店にそのまま向かうと

ガラス越しに踊り狂ってるAが見えて思わず吹き出す


近づいて耳をすますと俺らの曲ながしてる笑

しかもよく聞いたら一緒に歌ってる


俺、結構な距離で近づいてるのに全然気づく気配ないし

もう耐えきれなくてガラスをコンコンってしてみた

そしたら信じらんないくらいの速度と顔で振り返るからまた笑っちゃう


またやばい速度で裏入っちゃうから急いで店から背向けて俺もにやけた口角を元に戻す

かけてた音楽も止まってドアをゆっくりと開けてくれるA



「ごめん、遅くに、」

「うん、こちらこそなかなか出れなくてごめん」


実際、そんな大した用はない

今日はもう明らかに閉店って感じだし

柴咲さんもいないの知ってるし


けどAと話してるってだけの今の瞬間に、素直に感動してる俺

いつのまに、こんなAのこと好きになってたんだろうって自分が不思議だけど


「ってか、さっき何してたの?」

そう俺が聞くと、モロに『見られてたの!?』みたいな顔するから本当にこいつは面白い

そんな反応見るのが面白くてわざといじめたくなる

「えっとー、ちょっとつまんないから音楽かけてたの、」

「で?踊ってたの?(笑)」

「見てたの…!」

あんな面白いの、見てないワケないじゃん

「バッチリな!しかも俺らの曲だったろ?いいタイミングできたわ〜(笑)撮っとけばよかったわ!(笑)」

「ほんと恥ずかしいからやめて!」

今度は顔真っ赤にして恥ずかしそうにしてる

さっきから百面相かってくらいころころ表情変えるA

こんなのと一緒にいれたらずっと飽きないだろうな〜って

あの日ちらっと見たAの彼氏に初めてちょっとヤキモチをやいた

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作者名:だだ | 作成日時:2017年5月15日 19時

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