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しばらく北山と顔を合わせることはなかった

仕事もなかったし、練習は休んだ



あんなこと言って来た手前、引っ込みつかないっていうか

どんな顔して会えばいいのかわからない

だから、仕事がなくてよかった



でも休んでる間もずっとソワソワしてて
そこらへんから自分が本当にあの仕事をやめたいって思ってるわけじゃないんだって思い始めた



それを伝えに行かなきゃいけないのかもしれないけどまだムシャクシャした気持ちは抑えきれなくて無理だった




さっきコンビニで買って来た週刊マンガを横になってずっと読んでる

そろそろ飽きたころに、いつもは開きもしない占いのところを開いた

"しし座"のところを見てみると、運勢のところは星五つだった


「嘘じゃねーか」


今のオレ見て、運勢最高なんていう奴はバカだ

ちょっとでも信じようと思ってた自分もバカだ



でも気になったのがラッキーアイテム


『パッと頭に浮かんだ人に会いに行ってみよう』





その文を読んだ瞬間になぜかオレの頭に浮かんだのは
がき…いや、Aだった



今のオレを見たら、Aはどう思うかな
きっとバカみてーに優しい奴だから慰めてくれたり、するんだろうな

そんなこと考えてたら、アイツに会いたくなった



そういえば、タマから借りっぱの漫画あったっけ


行っちゃうか




オレの実家からタマんちまではかなりあったけど
すぐにマンガの入った袋を手に取った



そうだ、この前もらった招待用の歌舞伎のチケットも持って行こう

本当はかーちゃんのだけど。


Aが来てくれたら、また続けられるかも

そんな風に思えた



駅までチャリぶっ飛ばしてる間
なんどもAの顔が浮かんだ
そのたんびに自分の気持ちに気付きそうになったけど
漕ぐスピードあげて、振り切ってそれに知らんぷりしてみる





でもオレから渡さなくても、タマからとっくのとうにチケットもらってんだろうなって気づいた

逆にオレからもらっても、困るんじゃないのか?
なんて思っちゃって急に来た道戻りたくなった



『オレは漫画返しに行くだけ』

そう言い聞かせてタマんちの最寄りで電車を降りる



汗ばむ手を握りしめてタマんちまで行って
やっとの思いでインターホンを押すと


会いたかった、会いたくてしょーもなかったAの声が聞こえて来て

「はーい」




「、開けて」


本当は声聞けただけでも嬉しかったのに、自分でも驚くくらいの素っ気ない返事になってしまった

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作者名:だだ | 作成日時:2017年5月15日 19時

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