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それから俺は自然とタマから距離を取るようになって
周りもそんな空気を感じ取ってた
時間が経つほどタマの言いたかったことも
その意図もわかって来たような気がする
要するに、大事な妹に傷ついてほしくないんだろう
俺がタマの立場でもきっとそう思うだろう
けど俺はタマの言葉を反芻すればするほど
その言葉に反発したくなってくる
あまのじゃくだから
やるなってことはしたくなるっていうか
タマがくれた唯一のヒントの町の名前は
偶然にも家から徒歩圏内で
近くを通るたびに店を探したくなる衝動に駆られた
相当、Aのことが気になってるんだと気付いてふと恥ずかしくなるけど
欲を理性で抑える質でもないし
探しに行ってしまうタイミングもそう遠くないって分かっていた
全日オフの日、午前中いつもどおりゴロゴロしていた
何も考えなくていい時間に思いつくのは
いつも決まってAで。
逆に今までは仕事やレッスンでそういうの紛らわしてたかもしれない
結果、タマの注意は俺にとっては逆効果だった
タマがああ言ってきたお陰で触発されて
今まで気がついてなかった、ってよりも
気づこうとしてなかった気持ちが
自分の中で少しずつ頭を見せてきていた
気付いたら俺は家を出てて
足はもちろん、Aのいる隣町の方に向いてた
そこは結構小洒落たジュエリーショップとかアパレルショップがたくさんあって
どこから手をつけていいかわからなかった
片っ端から店を覗いて
ちょっと好みの服とかも見つけた
あっという間に外は日が暮れてて
どんよりした雲が雨を降らせ始めた
本当は店は見つけてたのに今日はいなかったのかとか
そもそもこの町じゃないのかとか
色々考えながら傘を差す
そしたら、来るときに見つけられなかった小道から小さなショッパーを持った男女が
ピンと来た直感を信じて
その小道を深く深く進んだ
大通りからかなり離れた場所に小さなジュエリーショップをやっと見つけて
ついでにドアの前に佇む、探してた人も見つけた
窓に書いてある閉店時間まであと1時間もあるのに
その人はCLOSEの表示に変えているところで
俺の気配に気づいたのか、その動作を止めて
店に招き入れてくれた
「どうぞ」
やっと見つけた
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作者名:だだ | 作成日時:2017年5月15日 19時