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懐かしい自室に戻って、昨日から今日にかけてのことを思い出す


数年間ひっそりタカ兄のことを思い続けた私に、
神様が最後に思い出づくりにってプレゼントしてくれたのかなあ

それはもう二度と来ない幸せなような、
一種の手切れ金的なような、


ベッドに座ってたまにニヤニヤしたり
恥ずかしくて顔を覆ったり

思春期の女子高生みたいなことを繰り返しながら
幸せな時間を思い出してた







トントン、



「Aちゃん?碧人くんから荷物…来てるわよ?」

「え?なんだろう…」

「大丈夫?いっしょにあける?」

「ううん、大丈夫です…」


確かに中身を見るのが怖かったけど
おばさんから受け取って机の上にのせた


どれだけ思い返しても、置き忘れたものが浮かばない

でも結構バタバタ出て来たからな…





すこし怖い気持ちを紛らわしながら箱を恐る恐る開けると


ずっとお気に入りだったカーディガンとスカートが綺麗に畳まれて入っていた


「なんだ、これか。」


でもなんであんな大事にしてたの忘れて来たんだろう

出てくる時の慌ただしい様子が思い浮かんだ

2年半も住んでた家をたったの数時間で出てくるんだから
そりゃ忘れ物もするか


「アイロン、かけなきゃ」

暇だし、綺麗に畳まれてたとはいえしわくちゃなそれを見て
箱から取り出し立ち上がると

中身はそれだけじゃないことに気づく



何も書いてない封筒で
そっと中身を取り出すと

そのまま手の力が抜けて四枚の写真がラグの上に落ちた




そのうち一枚は2年半前、碧人さんが私に見せて来たタカ兄と私が同じ黒い傘に入ってる写真

もう一枚は、私が呼び出された裕兄ちゃんの車に乗り込む瞬間の写真。運転席の裕兄ちゃんの顔もしっかり写ってる



そして後の二枚は、つい昨日。
2年半前の写真と同じ構図の、タカ兄と私が同じ傘の中にいる写真と、タカ兄のマンションのエントランスに入っていく写真。




幸せボケしてた頭が一気に現実に戻される

私が一番恐れて来たことが起こっちゃったんだ



その場の雰囲気に流されて、警戒もせずにタカ兄の家に上がり込んだ

この写真だと、裕兄ちゃんも巻き込んでしまう


やっぱり神様はイジワルだ…
あんなプレゼントくれた後にこの仕打ちだもん



どうしたらいいかわからなくなって写真たちといっしょにラグの上に座り込んだ

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作者名:だだ | 作成日時:2017年4月22日 23時

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