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「ほれ、」
ビールはそんなに好きじゃなかったけど、
タカ兄にもらったせいかなんだかいつもより美味しい
「やー、でもAと一緒にビール飲む日がくるなんてな。しかも俺んちで。小学生だったんだぜ？お前。想像しないでしょまさかこんなん。タマに言ったらぜってーブン殴られるわ。」
「裕兄ちゃんそんなことしないから」
「本当に好きだよな〜タマのこと。ブラコンじゃん、A。」
「てか、佐々木って苗字は何？この前打ち合わせん時言ってたやつ。玉森だとヤバいから？」
「それは…ちょっとややこしいかな」
「ややこしい？」
「うん。私ね、タカ兄が裕兄ちゃんと同じグループになって、裕兄ちゃんちにくるようになった時、私も兄妹みたいな顔して家にいたと思うんだけど。実は私は裕兄ちゃんとも達也とも、誰とも血繋がってないの。」
「すぐ近所のアパートに母親と二人で住んでたんだけど、母親は夜の仕事で家を開けることが多くて。自分たちも子供同士も年が近かった玉森家のママに、いつも家を開ける時は私のこと預けてたんだって。」
「頼れる親戚とかもいなかったから、そのぶんのお金は払って。でも、そのうち家に帰ってこなくなって。」
「子供ながら、仕事って大変なんだなって思ってはいたんだけど、多分その頃から不倫関係になったお客さんがいて。深みにハマって、今考えれば私は捨てられたんだよね。」
勢いで話してるけど、ついてこれてるかな
タカ兄は難しそうな顔でうつむいていた
「だから〜裕兄ちゃん曰く、私は『裕兄ちゃんちの家族ではあるけど、玉森さんじゃない』なの」
お酒の力を借りてるから、わりと饒舌に話したけど
内容が重いのには変わらない
やっぱり話すべきじゃなかったかな？って、黙り続けるタカ兄を見て思った
「ごめんね、話ヘビーで(笑)」
「いや、違う。オレ、バカだしAがどんな思いしてきたかとか想像がしきれない」
「しなくていいよ。その気持ちだけで十分」
「本当に玉森家の子にする？とかいう話はなかったの？」
「養子縁組、とかってこと？うーん、多少はあったんだろうけど、母親がそれでも干渉したがる人だったから、そんな話も立ち消えだよね。」
「でも私、玉森家の本当の子になりたいって何回お祈りしたかわかんないくらい、本当の子になりたかった」
「なんでここのお家の子に生まれられなかったんだろうって思ってたよ、いっつも」
タカ兄はうつむいたまんまだった
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作者名：だだ | 作成日時：2017年4月22日 23時
