君のいる世界～2～ (ページ21)

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マンションの前に、人影を見つけた

碧人さんだ…

途端にめまいがするような感覚に襲われる

「A！どこ行っちゃったのかと思ったよ」

時計を見ると、さっき連絡した時から1時間も経っていなかった

「ごめんなさい、仕事伸びちゃって」

抱きしめられている腕の中でそう言った

「お疲れ様。中入ろう。」

碧人さんは優しく手を引いてくれるけど

きっと部屋の中では豹変するんだろう

今日も痛い思いをする覚悟はできていた

むしろ、今日はそれを待っていた

そんなことされた後じゃないと、別れを切り出せない

私を傷つける後の碧人さんは尋常じゃないくらい優しくて『俺を1人にしないでくれ』って懸命に叫ぶから、本当にこの人だけは1人にしたらいけないんだって深く考えることもなく思い続けてた

でも私がずっとこれに耐え続ける理由もなかった

思った通りに、碧人さんは難癖つけて怒り出し、いつものように私に手を上げた

いつもは怖くて痛くて辛くて悲しくて泣きじゃくるのに、最後にしようと思っているせいか不思議と涙も出なかった

「もう、やめよう」

意外にも落ちついて言えた

「もう、お互い傷つくのやめましょ？」

「…？！A…！ごめん！また俺…！」

「もうごめんとかも、言わなくていいんです」

「…」

「怖い時の碧人さんを見るのも嫌だけど、私はそれより、私に手を上げて後悔して私に必死で謝る碧人さんを見る方が嫌だし…辛い…。そうさせてるのは紛れもなく私だし、一緒にいない方が幸せなんじゃないかな…そう思っちゃうんです、ここ最近。」

「ごめん…全部俺が悪いから、そういうこと言わないでくれ…」

「もう遅いですよ、、碧人さん…来るとこまで来ちゃったんです…私ももう辛いし、何より碧人さん自身が一番辛いんじゃないですか？今日で最後にしましょう…」

「分かった。もう、ダメなんだ。分かったよ」

碧人さんは反芻するかのように何度もうなづいていた

その夜は、最後にずっと抱きしめあって眠った