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第134話 ページ36

俺の放つ殺気にも怖じけずに手を
差し伸べた女。自分が不利になる
と分かってるいながらも馬鹿正直に
話す馬鹿な女…。そう思っていた。

だが…


『私は最初から、葉君の事も蓮君の事も
敵なんて思ったことないよ。だって、
仲良くなりたいから声掛けたんだもの!』


殺されかけたくせに、笑顔でそう言い
放った貴様は、前から俺の事を知って
いたのではないだろうか?と。

仮に知っているとしたら今まで
血を血で洗うような戦いをして
いた俺にずっと笑顔を向けてい
たのは…何故だ?

何故、こんな俺に手をさしのべる?

…A、貴様は何を考えている?


「私は…桜井Aだよ。」


ああ、その目だ。道家の息子として
変に媚びるわけでもなく恐れるもの
でもない。まっすぐ俺を見る目。


「蓮君。」


またへらりと笑顔を作り掴まれていない
手で俺の手を優しく包み込む。何故か
拒めないのは…それが不快だと思って
いないから…。


「…蓮君。手、温かいね。」


ポツリと呟くように吐き出された言葉と
包まれた手からアイツの手の温かさが
伝わってきて鼓動が早くなる。

生きているのだから、当たり前の事なのに
それが今までなかったことに今更気づいて
しまった。そして、改めて知ってしまう。

…ああ、温かい…な。

あの夜と変わらないその笑顔も手も。


「この手が今から守る手になる。
道を切り開く手になる。」

「…」

「もう、傷つけるだけの手じゃない。」


まるで祈るように呟かれる言葉は全て
俺の心に落ちていく。まるで、そうなり
たかったと前から思ってたかのように。

「私は…この手が好きだよ」

「…っ!」///

少し力をいれ自分の手を引き抜く。

…本当に突拍子もなくこういう事を…っ///


「…いつか、全てを話てもらうからな」

「…うん。」


貴様が何者なのか、今はまだあやふやな
ままだが今までの奴らとは違う事は分かる。

ここで問いたててしまえばいいが…

だが、祈るように告げられた言葉だけで
今は充分に思えてしまった。

「くっ…また、蓮と内緒話かよー!!!」

「うぇっへっへ。仲良いなぁ2人とも」

「くぅうっAちゅあん!!俺の頭も
ナデナデしてくれぇえ!!」


…ああ、温かいな。

今はまだ、ぬるま湯の様な温かさに
ただ浸かっていたいと

この満ちた気持ちを抱いていたいと

そう思えてしまった。


(絶対言わぬがな。馬鹿者どもめ。)

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キティさん(プロフ) - サヤノさん» 夢に友情に恋…そして壁!!大切な物が増えたからこそ悩み、気づく。そんな気持ちの成長は若い内にしか出来ないのかもしれません…道家では何が起きてしまうのか、見守ってあげて下さい(*^^*)いつもコメントありがとうございますっ! (2021年5月29日 19時) (レス) id: 0f028ec816 (このIDを非表示/違反報告)
サヤノ - 今度は蓮を助けるために修行して、その時は蜥蜴郎と馬孫を紹介しておくように、ヒロインさんも好きな人を守る番です、道家の悲劇と過ちは何かあります。 (2021年5月25日 5時) (レス) id: 83edd54df0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - キティさんさん» はい!更新ファイトです! (2021年5月24日 18時) (レス) id: a078323fa5 (このIDを非表示/違反報告)
キティさん(プロフ) - 名無しさん» まさかの同士が…っ!!コメントありがとうございます!阿弥陀丸好きな方、中々いらっしゃらないので嬉しいッ(*^^*)良かったら、これからも見守ってやってください…! (2021年5月24日 8時) (レス) id: 0f028ec816 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 阿弥陀丸推しなのでこの小説すごく好きです! (2021年5月24日 7時) (レス) id: a078323fa5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キティさん | 作成日時:2021年5月13日 14時

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