「苦手なタイプ」 ページ4
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製紙会社との商談は特に難なく終え、ヤスとよう行く蕎麦屋で昼食を取ってから会社に戻った。
昼になって太陽がてっぺんまで登ると尚更暑い。昨日まで雨が降ってたせいで湿気も酷くてもともとくせ毛な俺の髪の毛先は好き放題うねってくる。
雨ばっかりも嫌やけど、こんな高温多湿の晴れの日も嫌やなー。
早く涼しくなってくれへんかな。
まだ本格的に夏も始まっていないというのに俺はそんなことを考えながら、また受付の前を通ってエレベーターに乗って8階を目指した。
――ハチカイデス
チン、という音ともにアナウンスが鳴ってドアが開く。
エレベーターを出てすぐ右に方向転換をした。その先には喫煙できるテラスがある。
デスクに着く前に一本吸ってこ。
そう思ったのに、テラスへ出るドアの前に女性社員が二人顔を合わせるようにして立っていた。
しかもそのうちの一人は、やけに肩を丸めてハンカチで目を押さえてる。
そしてそのどちらもが4月に入社したばかりの一般職の女の子であることに気づいた俺は慌てて音を立てずに回れ右しようとした、
んやけど、間が悪いことに泣いてへん方の子と目が合ってもうて、
彼女は俺を見ると「あっ」と小さく声を漏らしたから、
「どないしたん？なんかあった？」
と聞かざるを得ない状況になってもうた。
「大倉さん！聞いてくださいよ！」
待ってましたと言わんばかりの口調で威勢良く喋り出す彼女。
名前、なんやったっけ。
「市瀬さんがね、誰にでもあるようなちょっとしたミスしちゃったんですけど、それだけで山田サンからこっぴどく叱られちゃって。」
山田という名前に俺は少し反応し、そして声をかけてしまったことを後悔する。
ただ、今更知らん顔してどこかへ立ち去るわけにもいかんから、俺はなるべく親身な顔をして二人を見た。
「どんなミスしてもうたん？」
「コピーの部数です。資料の部数がたった二部足りなかっただけで、いい加減にしてって。迷惑しかかからないから、仕事辞めた方がいいって。」
「…マジか。」
それはちょっと言い過ぎやなー、と俺は顔を引きつらせて笑った。
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蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年8月7日 18時
