6話 ページ7
Noside
最悪な物語は確実に紡がれていた。
実弥「バカ妹がァ…」
微かな鬼の香りと妹の繊細かつ丁寧な文で男は確信した。
実弥「鬼なんかになりやがって…」
炭治郎と禰豆子を認めない。
自分の妹が禰豆子と同じ立場だとしても。
実弥「鬼になった以上、容赦しねェ。」
A『頼もしいですね、流石兄さんです。』
ばっと顔を上げて見えたのは
幻覚なんかではない白くなった妹。
母と瓜二つだった髪が白くなった。
実弥「鬼が呑気に殺されに来やがっ…」
刀を抜き、戦闘態勢に入る。
A『兄さん。もう誰も責めません。思う存分に刀を振り払って良いですよ。貴方は鬼殺隊の柱なのですから。』
凛とした顔は記憶にある強く優しい妹。
逃げようとせずに、目を閉じて待つばかり。
実弥「……今からの事は忘れろ。」
小さな身体を抱きしめた。
A『鬼殺隊の柱ともあろう方が…』
実弥「…忘れろ。」
匂いは完全に鬼と化した妹。
優しい声に穏やかな口調は過去の記憶にある妹だった。
A『玄弥と仲良くしてください。例え、鬼殺隊を辞めて欲しくとも優しくしてあげてください。貴方にとっても玄弥にとってもたった1人の兄弟で唯一の家族ですから。』
妹は既に家族ではないと自分で言い切った。
A『玄弥には適当に言ってください。死体が見つかったとか。』
勝手にまた遠くに行こうとしている妹。
A『証拠と言われると困りますね…遠方に嫁いだとか?』
実弥「…死にてぇのか?」
やっと逢えたのに、
ようやく守れる距離に居るのに。
もう二度と傷つけることなく生きれるように鬼を切ってきたのに。
A『玄弥も不器用ですけど、兄さんも不器用ですね。兄弟揃って…』
実弥「…テメェに言われる筋合いねぇよ。」
殺される為に自分の所に現れたのだと知った。
やっとこうして抱きしめられるのに。
実弥「……今まで何人食った。」
鬼ならば人を食わずには居られない…
A『餓死しようとしてるんですけどねー。なかなかしぶといんです。自分自身にビックリです。』
妹は1歩、また1歩下がる。
実弥「稀血が欲しいかァ?」
A『はい。』
すんなりと欲を出した。
が、男には気持ち悪かった。
実弥「肯定すれば殺されると思ったか。」
A『あら?きっと兄さんの事だから抜刀すると思ったんですが…』
禰豆子を認めれば楽になれるのに…
妹を守っていけるのに。
二度と傷つけることなく、幸せにしていく道を探したいのに。
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作者名:ペテン師 | 作成日時:2019年11月20日 4時