8.廻らせ思案を【後】 ページ8
決定打になったのはそのことだ。しかし、ゲトウが今まで振る舞ってきた態度、そこからも何やらただならないものが感じられる。
思わせ振りでいい加減な態度、自由気ままに言の葉を紡ぐ様に、自分はどれだけ動揺させられたことか。出会い頭から彼はおかしかったのだ。美姫が如く人を魅了する獣をけしかけては、幽霊のように現れる。そして自分に問いかけるのだ。
「君、昔から変なものが見えるだろう」
心臓がキュ、と締まるような感覚がした。ずっと、この言葉が引っ掛かっている。いや、自分から押し止めているのだ。確かに自分を孤独から救った、いや「掬いあげた」彼の言葉が、どうしてもそのままにしてはおけなかったのだ。
考えれば考えるほどわからなくなってきた。もう一度、今度は自分にだけ聞こえるようため息をつく。学習机の前には窓があり、そこから月光が漏れていた。満月だった。明るい未来を示唆するようにも、もう後戻りができなくなる程の変革への導きを予言しているようにも見えた。
なにもわからない。今はただ静けさが心地よい。
呪霊とは?ゲトウとはいったい何者なのか?どんな人間性を持っているのか?
自分は疲れていた。だから考えるのをやめた。あるにはあるが、不思議と大それた不安は感じなかった。
「A、夕飯ができたよ」
襖の外から声が聞こえた。よくよく考えると客人に料理をさせて申し訳ないな、と思う。
それにできる限り答えられるよう、はい、と弱々しい声で答えた。
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作者名:地獄職人(匠) | 作成日時:2021年1月27日 23時