紫の偏執3 ページ32
『すみません、煮込み大根一つ下さい』
気前の良さそうなおじさんは｢あいよ！｣と気力溢れた返事をしてカップに大根と汁を注いでいく。
私が食べたくなったのは何も大根が食べたかったからではない。これには細く切られたネギ、七味、牛すじなど旨味を引き立たせる具材がたくさん入っているのだ。これは美味しいに違いない！
会計をして店内にあるパイプ椅子に座る。
『…はい！』
｢え｣
割り箸を一つ差し出すと一松君は心底驚いたように私を凝視した。
｢…おれも食べていいの？｣
『なに〜、私一人で全部食べると思ったの？心外だなぁ』
｢だって、これそんなに量ないじゃん｣
『……一松君。食べ歩きデートとというのはね、美味しいものを二人ではんぶんこするのが醍醐味なの！一人で食べるなんて言語道断！ここには美味しいものがたくさんあるんだから、二人で全部制覇しよう！』
テンションが上がって食べ歩きデートの良さを熱弁してしまったが、全部制覇は胃袋的にも財布的にも厳しいかもしれない。……またリベンジしに来るのもアリか。
｢はんぶんこ…｣
『最初の一口どーぞ？』
数分前より少し目を輝かせた一松君は恐る恐る大根を口にした。
｢……美味しい｣
『でしょ！やっぱり私の目は間違ってなかったね〜』
｢……な、何してんの｣
『私もお腹減ったな〜、誰か食べさせてくれないかな〜？』
口を開けて正面に座っている一松君を見つめると、彼は一瞬の動きで煮込み大根とお箸をテーブルに置いた。
｢ば、バカじゃないの。食べたきゃ勝手に食べれば？｣
……まだ早かったか。
だけど焦る必要はない。まだまだチャンスはあるのだ。
ちぇ、と口を尖らせて大根を一口サイズに割る。
『……美味しい！』
思ってた以上の味だ。それぞれの具が見事にコンビネーションを決めていて、旨味を最大限に引き出せている。
『美味しいね！一松君…！』
｢っ！｣
目線を一松君の目に合わせるとどうやら一松君も私を見ていたようで、目が合った瞬間凄い勢いで逸らされた。
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(どうせゴミは何着てもゴミですよ…)とか思いつつ一生懸命デート服選んでたら可愛い。
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milk - 本当に面白い！！この作品は完結がもの凄く気になります…！！続き待ってます！！ (2022年8月26日 22時) (
レス) @page47 id: 1d931b58b6 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 続き待ってます (2022年8月18日 17時) (レス) @page47 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
一樺(プロフ) - 続き凄く見たいです…もう更新されないんですかね？？ (2020年11月28日 16時) (レス) id: e734b1c435 (このIDを非表示/違反報告)
星猫(プロフ) - 続き見たい早く気になる (2020年11月14日 16時) (レス) id: 7ce7f2c2ab (このIDを非表示/違反報告)
Nori(プロフ) - なり金さん» 再びコメントありがとうございます(*´ `)小鳥が飛び立ったシーンでしょうか？差し支えなければ教えてください…笑カラ松パートでの課題はカラ松語なんですよね。未だに分からない笑 (2020年6月23日 16時) (レス) id: f050346503 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nori | 作成日時：2020年3月10日 17時
