崩壊 ページ36
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「おい、待て。月島！」
「なんですか、鯉登少尉。」
「Aという女は、何者だ。」
鶴見中尉が下がったあと、
鯉登は月島に問い詰めた。
「…その女性はとある囚人と繋がっています。
そのため殺されると非常に困ります。」
「それはさっきの鶴見中尉の説明でわかった。
違う、そこではない！
私がその者を撃ったと言ったとき、
明らかに月島軍曹は怒っていた。」
「…」
「それに殺したら宇佐美上等兵も私を殺しにくると…」
月島は、先程Aが撃たれたと聞いたとき、無条件に怒りを露わにしてしまったことを後悔した。これはいくら嘘をついても、さすがに説明がつかない。
「＿＿＿鯉登少尉殿が第7師団に入る直前まで、彼女は我々と一緒にいたんです。」
「?!」
「…ただ日露戦争のときに、目の傷がひどく、第7師団から距離を置くことになりました。彼女は尾形に並ぶほどの狙撃手でしたから、その選択を止める者は誰もいませんでした＿＿＿
あ、いや、いました。一人だけ。」
「……宇佐美上等兵か？」
「そうです。まぁかなり歪んだ愛情でしたが、」
「うーん、そんなに皆が引き止めるほどの魅力があるとは思えないが、、」
「当初、我々もただの鶴見中尉のお気に入りだと思っていました。ですが彼女は、裏表がなく……彼女に救われた人間も少なくはないでしょう。」
月島の発言を鯉登は純粋に受け取った。
「月島軍曹がそこまで言うのなら、
ほんとうに素晴らしい女性なのだろう。」
「…」
「＿＿＿だが、月島軍曹。
彼女は我々を撃った。それは紛れもない事実だ。」
「事実だからこそ、私達はもう二度と彼女を“手放す”わけにはいかないのです。」
「…！」
もし、あのときAを手放していなければ、
こんなことにはならなかった。
尾形に脅されているのか、
自らの意志かは定かではないが
今、敵であることは明白。
「月島…」
鯉登は月島の重々しい雰囲気に言葉を失った。
「これからは、入れ墨人皮の捜索とAの“救出”が私達の仕事です。」
第7師団を撃ったという事実があるにも関わらず、
“救出”という言葉を使った月島軍曹。
宇佐美がAに対して歪んだ感情を持っているとするならば、月島はAに対して依存するような愛情があった。
再会を果たした直後、
尾形の元にいるという事実知り、
そして今回、
第7師団に銃口を向けたと知った。
月島の気持ちの崩壊は始まりかけていた。
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プスメラウィッチ - 出来れば、尾形百之助オチでお願いします🙏 (2023年1月27日 15時) (
レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
作者です - 名無し74304号さん» はじめまして。お気遣いいただきありがとうございます。自分のペースで進めていきます。よろしくお願いします。 (2023年1月3日 15時) (レス) id: 2646bdd757 (このIDを非表示/違反報告)
作者です - もっちさん» ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2023年1月3日 15時) (レス) id: 2646bdd757 (このIDを非表示/違反報告)
名無し74304号(プロフ) - はじめまして、面白いです。続きを楽しみにしています、無理なさらない程度に (2022年12月27日 1時) (レス) id: 969f72f718 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - 面白いです、楽しみにしてます。 (2022年12月26日 0時) (レス) @page38 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年11月27日 21時
