戦争 ページ15
．
それから家に戻り、支度を始めた。
支度とは言っても、荷物を捨てて整理するだけ。
ただ大事なものだけを胸ポケットに仕舞い、
三十年式歩兵銃を背負った。
きっと、この家には帰らない気がした。
たった1年しか使ってない家だったけど、この家には思い入れがある。この1年は自分らしく、一人で生きれた1年だったから＿＿＿＿＿＿
玄関の前で一礼し、別れを告げた。そしてこの家を貸してくれた人の元へ鍵を返しに行った。
この家は街中にある乾物屋の老夫婦が貸してくれたものだった。二人は独り身の私に何かと優しくしてくれた。雪が積もった真冬には鍋ごと料理を持ってきてくれたり、寒いだろうからと言って良い布団まで貸してくれたり、こんな優しい人間に会うのは初めてだったと思う。
この街を去ることを伝えると、
「正直寂しいが、お主はまだ若いから色んな所へ行ったほうがいい。色んな場所へ行って自分の居場所を見つけて、儂らみたいに年をとったら、その居場所で骨を埋めればいいんだ。」
「もし夕張に来る機会があったら声かけてね。
たくさんご馳走作るから。」
二人はそう言ってくれた。その二人にも『ありがとうございました』と、別れを告げた。
この夕張が私の帰る場所だと、思っている。
だから硯と、二人で夕張へ帰りたい＿＿＿＿＿
そんな幸せな夢を抱えて、
これからは歩くしかないんだろう。
予定よりも早く家を出て、
街を散策してから皆と合流しようと考えていたが、
あまりにも目立つ人達を見つけてしまった。
牛山の上に乗っているアシリパ、
杉元、そして何故かボロボロの尾形。
『…なにごと？』
尾形は顔に複数の擦り傷や切り傷があり、やや血汚れている。まるで戦闘をした直後のようにも見えた。
「第7師団が来た。」
『?!』
「早くここを出ないと。」
アシリパがそう言った。
第7師団＿＿＿
やっぱり入れ墨を追っているのか、、
「＿＿＿＿行こう、A。」
杉元がそういった。
そのとき、背負っている夢よりも、
背負っている三十年式歩兵銃の重みが
増した気がした。
夢だとは言っても、
ああ、これから始まるのはきっと戦争なんだな…
もう後戻りはできなくなるんだ。
だから、生きるために前へ進まないといけない。
そうして、
私は金塊戦争への一歩を踏み出してしまった。
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プスメラウィッチ - 出来れば、尾形百之助オチでお願いします🙏 (2023年1月27日 15時) (
レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
作者です - 名無し74304号さん» はじめまして。お気遣いいただきありがとうございます。自分のペースで進めていきます。よろしくお願いします。 (2023年1月3日 15時) (レス) id: 2646bdd757 (このIDを非表示/違反報告)
作者です - もっちさん» ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2023年1月3日 15時) (レス) id: 2646bdd757 (このIDを非表示/違反報告)
名無し74304号(プロフ) - はじめまして、面白いです。続きを楽しみにしています、無理なさらない程度に (2022年12月27日 1時) (レス) id: 969f72f718 (このIDを非表示/違反報告)
もっち - 面白いです、楽しみにしてます。 (2022年12月26日 0時) (レス) @page38 id: 59cf03caf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年11月27日 21時
