三月五日 多幸茸1【友人M・Iリクエスト】 ページ8
※何時もよりキャラ崩壊が酷いです!ご注意ください!
「……安吾、私死にたい。」
「あーそうですか何時も通りですね。」
太宰の淡々とした冷淡な声。
中身は安吾の云う通り何時も通りだ。
太宰の声とは裏腹に、安吾は疲労を声にたっぷりと滲ませながら答えた。
目の下にある黒い隈。
もう何日寝ていないのだろう、と私は目の前の現実から目を背けながら思った。
時に、人は現実から目を逸らさなければやっていけない事もある。
今正に其の状態である。
さ、咖哩でも食って帰るか。
後は太宰と安吾が何とかするだろ。
第一発見者――私――からの状況提供はもう済んだ。
第一発見者と云う事は、他の人よりも長く此の状態を見ていた事を示す。
もう此れ以上、無残な姿を私は見たくなかった。
近くに掛けて置いた外套を掴み、私は踵を返す。
「おーださく♡どーっこへいっくのっかなー♪」
後ろから太宰の楽し気な声が聞こえた。
其れと同時に、私の肩を誰かが掴んだのを感じる。
嗚呼、私は何も聞いていない。
私は何も見ていない。
軽く太宰の手を払い、私はもう一度出口へと歩を進めた。
太宰の不満そうな声が聞こえるが、一切気にしない。
此のドアノブに手を掛け、開いて外へと出てしまえば私は何も関係が無かった振りをしよう。
何も無かった様に咖哩を食べて、何も無かった様に眠ってしまおう。
そして明日目覚めたら今日の事等忘れてしまって、また太宰や安吾には到底及ばない仕事を熟して、疲れたとぼやくんだ。
そうしてしまおう。
そう思ってドアノブを押したときに、先刻までやけに大人しかった太宰の拗ねた声が聞こえた。
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作者名:永魔堂 | 作成日時:2018年11月11日 19時