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三月某日 絶対のマフィア4 ページ16

此んな風に泣き、縋ってくれたのは幼い頃以来の事で、広津は少し嬉しく感じた。

なんて、不謹慎か。

頭を撫でながら思う。

何時の間にか弥生の背は伸びていて、自分とほぼ近い。

成長したのだと実感した。

段々大きくなっていった泣き声は、今度は段々小さくなっていった。

服を掴む力こそ強いものの、泣き声は確実に小さくなっている。

張り詰めた糸の様な泣き声は段々なりを潜め、今度は嗚咽が顔を出してくる。

しゃくりあげる弥生の身体は、未だ小さく震えていた。

広津は、弥生が泣き止むのを辛抱強く待ち続ける。

あと、数分と云う処だろうか。

予想を立ててみる。

広津の予想通り、弥生は数分経った処で泣き止んだ。

身体は未だ震えているものの、泣き止もうと努力したのは判る。

ぽんぽんと背中を叩けば、有難うと震えた声が返って来た。

ゆっくりと弥生の身体が広津から離れる。

広津の服はぐっしょりと濡れていた。

弥生が涙の跡がくっきりとついた頬の弥生が、慌てた様に云う。

「御免広津さん!ちゃんと洗濯して返す!」

弥生の言葉に、広津は気にしてないと手を振った後、首を傾げる。

「洗濯?」

「うん。此処は普通に暮らせる場所だからね、洗濯も食事も何でも出来るよ。普通にご飯美味しいし。」

弥生は広津の背中を押しながら云った。

何処に行くのかと問えば、弥生はニッコリと笑う。

やせ我慢ではない、心からの笑みの様に見えた。

「何処って?私の家だけど?あ、でも広津さん此方に来たから家あるかも!家何処か判る?」

「マァ勘で。」

「其れで善いよ。」

自信なさげに答えれば、弥生は頷いた。

其れで善いのかと思うが、マァ大丈夫だろう。

マフィア歴は広津の方が上だが、此方歴は弥生の方が上だ。

弥生に従うしかないだろう。

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作者名:永魔堂 | 作成日時:2018年11月11日 19時

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