獄卒さんと武器 ページ8
「なあなあA！お前んち、シャベルとかねーの？」
平腹くんが唐突にそう言った。何か穴でも掘るのかと問うとないと落ち着かないとのこと。？が頭上に浮かんだわたしに、佐疫くんがシャベルは平腹の武器なんだと付け足した。
どうやら獄卒のみんなにはそれぞれの武器があって。しかしこちらの世界に飛んできた際に全員失くしてしまったらしい。
「平腹くんと田噛くんはホームセンターで揃ったけど･･･さすがに金棒とかは･･･」
現代日本じゃちょっと難しいかなあ･･･。そういうと彼らは少しだけ残念そうな顔をした。
佐疫くんの銃は駅ビルの地下にあるサバイバルゲームなんかに使う銃の専門店でひとつ買った。だいぶ痛い出費･･･というかわたし彼らにお金使いすぎじゃないか？まあ、この際それはいいや。
「あ、」
斬島くんのカナキリの代わりのものに心当たりが出来て箪笥をあさる。奥の方からあるものを取り出しみんなが座って居る方を振り返った。
「じゃーん！」
「それは、木剣か」
「そう！学生の時のやつだし安い赤樫だから頑丈ではないけど。代わりに持っておけば落ち着きはするんじゃないかな？」
「ああ、そうだな。では少しの間相棒になってもらおう」
「あ、でもあんまり持ち歩いてたらめんどくさい事になるから気をつけてね」
「心得た」
初めて斬島くんの綻んだ表情を見た気がして、少し驚いたけどわたしはやんわり笑みを返した。良かった、やっぱり多少なりとも不安はあったんだ。初めて手助けができた気がして少し照れくさかった。
「いつもの武器とは違うけどさ！やっとシャベルも手に入ったし！外に行こーぜー、田噛ぃ！」
「めんどくさい。ひとりで行って来い」
「えぇー！？じゃあ斬島！どっか行こーぜ！」
「話を聞いていなかったのか。昼はエモノを持って外に出るな」
「うげ、つまんねー奴」
「まあ、素振りぐらいなら付き合おう」
「見てA。この銃、ジャケットの内ポケットにぴったり入ったよ。ホルダーがあればいいんだけどなあ」
佐疫くんまでちょっと嬉しそうだ･･･。なんだかんだで元気になったみんなを微笑ましく眺めながら、お昼にしようかと切り出す。みんないつもより元気に返事をして。今日は佐疫くんだけでなく他のみんなも手伝ってくれるらしい。
狭いキッチンに人がぎゅうぎゅう入って、鬱陶しいような、楽しいような。
そうやって、彼らがこの空間からいなくなってしまうことへの恐怖が増してしまうのだった。
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まびの。(プロフ) - 鈴菜さん» 鈴菜さん、コメントありがとうございます！こんな化石のような小説に……わたしの願望(欲望)を詰め込んだ木舌さんになっておりまして恐縮ですが、可愛いと思っていただけて幸いです( ^o^)続編…途中までですが、よろしくお願いします…… (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 744b07ad85 (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - 木舌さんがいちいち可愛いんですよ…！(嬉)もう、最後の方は涙が…。続編も読ませて頂きます！ (2020年8月23日 17時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 最後で泣きそうになってしまいました・・・・でもとっても面白かったです！ (2016年7月6日 20時) (レス) id: bf8b5df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
みっきーω・`(プロフ) - ひょええ…冬だからサムイな…サイトですか…お手数ですが、URLをはっていただいてもよろしいでしょうか？ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 332ae38f5d (このIDを非表示/違反報告)
まびの。(プロフ) - みっきーω・`さん» これは･･･みっきーさんが風邪をひく前に更新しないと･･･（笑）今はツクールでの執筆はやめてサイトの方で更新しているので、終わるとしたらそっちでかなあと思ってます。頑張りますね！ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 5abcfed697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まびの。 | 作成日時：2015年2月28日 14時
