谷裂さんからの試練 ページ7
結局谷裂さんが戻ってきたのは９時を過ぎてからだった。他の獄卒くんたちは既に朝食を済ませてまた各々好き勝手に行動している。
テーブルについた谷裂さんに今日の朝食を出して、なんとなしに隣に座った。彼は少し眉をあげてわたしの方を見ていたが、何も言葉は発さないまま食事を始めた。
正直、谷裂さんは怖い。特別何かをされたという訳ではないけれど話しかけても睨まれるし、笑わないし、まあ人相もそれなりに。木舌さんが言うには仕事熱心でストイックで、ただ単に自分にも他人にも厳しいだけだから怖いやつでも悪い奴でもないらしいんだけど。
「おい、人間」
「あ、はい」
「お前、この辺りの情報を集められるか？」
「このあたりの情報？」
家賃を抑えるために都心から外れた場所を選んだので周りにあるものといえばスーパーやコンビニ、薬局くらいであとは何もないと思うのだけど･･･。
「現世でいう心霊スポットを調べろ。それと人気のない場所や、とにかく亡者が出現しそうな場所だ」
「心霊、ですか」
調べるまでもなく、この辺りには有名な心霊スポットがいくつかあった。工事は終わっているのに長い間閉鎖されたままの橋。どの時間帯も真っ暗なトンネル。それと理由は知らないけれど閉鎖され取り壊されもしない古屋敷。有名どころはこれくらいか。
それを谷裂さんに伝えると、意外にも彼は「やはりな」と言ってお茶をすすった。
「知ってたんですか？」
「亡者の気配がした。今言った土地と特徴は一致しているから間違いないだろう。だがいつ行っても姿を現さん」
「ああ。もしかしたら、獄卒さんを怖がっているのかもしれませんね。連れていかれるかもしれないって」
「その通りのようだ。そういうことで人間。俺の言いたいことが理解できたか？」
「え･･･」
わたしの言う心霊スポットに亡者の気配がする。その亡者というのが恐らく心霊現象の原因で人間を驚かしている。でも 獄卒である谷裂さんでは恐れ戦いて出てこない。
「･･･相手が人間なら、姿を現す」
「その通りだ。勘のいい奴は嫌いじゃない。分かったら今夜出かけるぞ」
「えええええ！？い、いや、わたしダメなんです、ホラー映画とかお化け屋敷とか苦手で･･･！」
「やかましい！これしか帰る手がかりをつかむ手段はない。人間の手を借りようなど不本意極まりないが･･･仕方ないだろう」
彼は湯呑を置いて傍に置いてあった帽子を手に取ると、他の場所も探してくると再び出ていった。
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まびの。(プロフ) - 鈴菜さん» 鈴菜さん、コメントありがとうございます！こんな化石のような小説に……わたしの願望(欲望)を詰め込んだ木舌さんになっておりまして恐縮ですが、可愛いと思っていただけて幸いです( ^o^)続編…途中までですが、よろしくお願いします…… (2020年8月24日 20時) (
レス) id: 744b07ad85 (このIDを非表示/違反報告)
鈴菜 - 木舌さんがいちいち可愛いんですよ…！(嬉)もう、最後の方は涙が…。続編も読ませて頂きます！ (2020年8月23日 17時) (レス) id: 887197f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 最後で泣きそうになってしまいました・・・・でもとっても面白かったです！ (2016年7月6日 20時) (レス) id: bf8b5df6a4 (このIDを非表示/違反報告)
みっきーω・`(プロフ) - ひょええ…冬だからサムイな…サイトですか…お手数ですが、URLをはっていただいてもよろしいでしょうか？ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 332ae38f5d (このIDを非表示/違反報告)
まびの。(プロフ) - みっきーω・`さん» これは･･･みっきーさんが風邪をひく前に更新しないと･･･（笑）今はツクールでの執筆はやめてサイトの方で更新しているので、終わるとしたらそっちでかなあと思ってます。頑張りますね！ (2015年11月29日 3時) (レス) id: 5abcfed697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まびの。 | 作成日時：2015年2月28日 14時
