【太陽系大戦争】お茶の中の揺らいだ世界（派生作品） (ページ1)

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イオリ・ディーアと朝のお茶会ページ1

「………ふふ、これで少しは様になるってものよね」

最後にカップを置き終わって、私、イオリ･ディーアは笑みを溢した。

目の前には一人分のカップとティーポット、それから軽いお菓子が並べられている。淹れたての紅茶が入ったカップから漂ってくる良い香りが、私の鼻をくすぐった。

私はいつもお茶を飲んでいる。朝、早く起きた時はお茶、昼、仕事のないときもお茶、夜、寝る前にもお茶…と、見事にお茶に魅入られた生活を送っている。

友人に「貴方の本職はお茶を飲む事ではないでしょう？」と言われた事はあるものの、私の原動力はお茶だ。紅茶だ。ほうじ茶だ。これがなければ清清しく仕事が始められない。

話を戻そうか。

朝、面倒くさい、眠いという感情を押し退けてミニお茶会の用意をする。

「毎朝やっているのに、イルミとのお茶会みたいにはならないのよね…。やはりそこは違うのかしら」

まあ、杞憂かしら。気にしすぎなのかもしれないし。

イスに座って紅茶の入ったカップを口に運ぶ。……うん、いつも通り美味しいわ。

数口飲んでから窓の外に目を向ける。

そろそろ日が昇り、王国も騒がしくなる時間だ。私も見回りに行かねばならない。

「……まあ、まだ間に合う時間かしらね」

チラリと見た時計は、まだ見回り集合時刻の３０分前を示していた。

……世界、いや、宇宙では今、”太陽系大戦争”という、太陽革命軍と太陽守備軍に分かれた戦いが行われている。

私は木星出身木星所属の、純粋な木星人である。一応”王国警備隊総督”というそれなりの地位について、それなりの交友関係を持ち、それなりの戦績を残している。

本来なら見回りはもう少し遅い時間なのだが、今は戦争真っ只中。国民に被害が及ばぬよう、王国の見張り・見回りは、少し警戒体制を強めねばならないのだ。

「……本当は、戦いが起きないのならそれで解決したかったわね」

お菓子をつまみながら一人呟く。

そんな私の呟きは、活気が出てきた王国から聞こえる商人の声にかき消された。