【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【から紅の恋歌】

□８． ページ9

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『────っ、』


ソワソワしているだけじゃどうにもならない。
居た堪れなくなった私は人混みを避けながら走り出した。

何やってるの……服部くんも和葉ちゃんも、…新一も！



さっきから掛けている電話は、当たり前のように繋がらない。

ドクン、ドクン、と嫌な音を立てる心臓が身体の中で響くような感覚に頭が痛くなりそうだった。



『ばかばかばか…、すぐ首突っ込むんだから…！』



お願い神様。

どうか新一が、…服部くんや和葉ちゃんが無事でありますように。




『んわっ』

「ったく、うろちょろしやがって…！！」

『お、おじさん…』



運が悪く……いや、運が良く？

ぶつかった相手は小五郎のおじさんだった。
私を見るなりぎょっとした彼に叱られながらも自分を落ち着かせるように深呼吸。

…信じないでどうする。
すぐに不安になっちゃうの、私の悪い癖だ。



『ごめんなさい、おじさん』


────大丈夫なんだよね、新一。

そんな思いで、テレビ局の方をちらりと見上げた。









·









救急車の中で手当てを受けていた和葉ちゃんがこちらへと足を進める。

その表情は至っていつも通りだし、元気そうだ。



「大丈夫だった？」

「うん、よう覚えてないんやけど…少し煙を吸うてしもただけやから！」



すぐさま駆け寄る蘭に笑って応える和葉ちゃん。

…ほんとに良かった、無事で。


和葉ちゃんが無事だったってことは、服部くんや新一も絶対に大丈夫。




「どうしたの、愛花ちゃん」

『へっ』

「お前、顔こえーぞ」

「どうかしたんですか？」



私を見て不思議そうにしている子供たち。

…そんな顔に出てたかな。



『な、なんでもないよ』


…快斗に今度ポーカーフェイス教えてもらおう。

全部顔に出ちゃうの、やっぱりダメだよ。
みんなに心配かけちゃうし。



「そういえば、コナンくんは？」

「うん。この避難所に来てると思ったんだけど…」



あの馬鹿。
和葉ちゃんと蘭だって心配して───…


『あ』



つられるようにしてパトカーを目で追っていた私の視界に映ったのは、服部くんとコナンくんの姿だった。

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