【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【から紅の恋歌】

□３５． ページ36

コナンくんはカルタ札を取り出して私たちに見えるようにする。



「この皐月会のカルタの側面についた黒ずみ。殺害された矢島さんは、このシミが5年前突然現れたことに気づいたんだ」

『その黒ずみってまさか…』



私の呟きが聞こえていたらしい服部くんは、こちらの方を振り返ると名頃さんの返り血がついた手でカルタを掴んだ人物の指紋だと話す。

つまり、黒ずみは血ってこと…。



「5年前に失踪したと思われてた名頃さんは、その時殺されとったんや」

「そんな…っ」

「そして、その指紋の主こそ…」



後ずさった紅葉さんが服部くんから阿知波さんへと視線を動かした。

付け足すみたいに服部くんは「…名頃さん殺しの真犯人」なんて。

そこまで聞いたところで、ずっと無言だった阿知波さんがふっと息を吐いた。




「私の負けや、全て自供しよう。その代わり、皐月会のカルタを証拠とするのは辞めてくれんか？それは皐月会にとって…」

「なんだ、そういうことか…」


コナンくんの持っているカルタ札の方へと振り返った阿知波さんは、彼の穏やかな呟きに目を見開いた。


「どうしても理解できないことがあったんだけど、その態度でよく分かったよ。このかるたについてる指紋って、阿知波さんのじゃないよね？」

『え？』



そんな言葉に思わず疑問符が浮かんでしまう私とは対照的に、阿知波さんは「いや、私や！私の指紋に間違いない！」と少しだけ声を荒らげた。

それに続いて口を開いたのは服部くん。



「確かに、今回起きた一連の事件はあんたと海江田の仕業や。…けど、全ての発端となった5年前の名頃さん殺しは、あんたやない！」

「───皐月さんだよね」



会心の一撃みたいになったコナンくんの声に、はっと目を見開いた阿知波さんは軽く目を伏せると話し出した。

…5年前のあの日、阿知波さんが帰ると皐月さんが名頃さんの返り血を浴びて立ちすくんでいたこと。

その光景を見て、すぐに名頃さんが皐月さんに勝負を挑み…彼女はその勝負に負けたことを悟ったということ。


ぽつりぽつりと説明する彼の声に、私はぎゅっと拳を握り締めた。

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