【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【から紅の恋歌】

□３． ページ4

「ここに写ってるんが阿知波研介や」


ある記事に乗っていた阿知波会長の写真を指差す服部くん。

1代で阿知波不動産を築き上げた大物で、浪速の不動産王とも呼ばれていることを説明する。


「そんな男がなんでカルタなんかやってんだ？」

「唯一の趣味やったそうや。腕前も相当なもんらしいで？」


その声に、コナンくんがその記事を見ながら口を開いた。


「でも阿知波さん自身は選手よりも読手になりたかったって言ってるね…」

『…うん、でも専任読手はA級になってからもさらに経験積まなきゃいけないから趣味だけじゃ難しいよ』

「へぇ…」

「詳しいなぁ、愛花ちゃん！」



和葉ちゃんのそんな言葉に、あはは…と首を傾げたその時、おじさんの「おっ！」という声。

なにやら記事に綺麗な人を見つけたらしい。



「阿知波さんの奥さんの皐月さんです」

「なんだ人妻かよ…」

『…おじさんだって奥さんも娘もいるのに』


ぼそりと呟いた声は、おじさんには聞こえなかったみたい。コナンくんだけが軽く呆れていた。


「皐月会は元々、クイーンだった皐月さんが作った会で阿知波さんはその後を継いで会長になったんです」

「あと対談で話題になりそうなことは…あ、これなんか面白いんじゃない？」


コナンくんが指差す記事を、私も一緒に覗き込む。

そこには阿知波さんが皐月さんの大切な試合が行われる時は必ず前日に洗車して験を担ぐ…なんてことが書かれていた。



『車を綺麗にしておくことが成功と勝利の秘訣だって！』

「で、俺はこの験担ぎ夫婦と3人で対談すればいいのか？」

「いいえ、奥さんの皐月さんは3年前に病気でお亡くなりになって、今日対談なさるんは阿知波会長だけです」



未来子ちゃんのその話に、どうも言えない表情で「そうか…」と呟くおじさん。

その隣で、コナンくんはまたもや記事を指差した。




「あのさ、この阿知波さんの横に必ず写ってるすごく強そうな人は誰？」

「ああ、その人は阿知波さんの秘書やった海江田藤伍さんや。阿知波不動産の裏の部分を一手に引き受けてきた切れもんらしいが、今は秘書を辞めてどこにおるんやら…」

「ちょっと服部くん！そんな根も葉もないこと言うん辞めて！皐月会の会長に裏なんてあらへん！」

『そうだよ、平次兄ちゃん』

「そういう噂や、噂！」

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