【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【から紅の恋歌】

□２６． ページ27

「とにかく平次ははよ戻って！あの子のこと守らんとアカンのやろ！」

「いや、それは警察が…」

「いいから行き！試合前に怪我でもされたら、勝負できひんし…」

「そうか？…ほなそうするわ」



静華さんに“あとは任せた”ということを告げた服部くんは背を向けてしまう。

…あ。



『待って平次兄ちゃん、』

「ん？」


私の呼びかけに、彼はポケットに手を入れながらもちらりとこちらを振り返る。



『コナンくんは…？』

「あぁ、あの坊主やったらすぐ戻ってくると思うで」



心配なんかしなくても。

最後にそんなことを付け足した服部くんは去っていってしまう。

その後ろ姿がなんだか寂しげで…、少し心配だったけど私が口出しできる問題じゃないから。


恋って、勝負って、…難しいなぁ。









·









『…新一くん、なんか言うことがあるんじゃないの』

「へぁ？」



寝る前に歯磨きをしていると、眠そうにあくびをしながら洗面台の前にやってきたコナンくん。

私はジト…と彼のことを見つめる。

なぁに、ぽかんとしちゃってるのよばーか！！



『こそこそ事件に首突っ込んでどこまで捜査進んでるのか何も話してくれないじゃんっ！！』

「わ、わりーって！！つか声でけぇよ！」

『…む』



コナンくんは目を細めると「蘭に聞こえんだろ！」と私を黙らせる。

…すぐ、そうやって謝れば済むと思ってる。



「そんなに事件気になってたのかよ」

『事件に…、』



そう言われると、事件が気になってるわけじゃない。

…探偵のくせにどこまで察しが悪いんだ。




『違うよバカ』

「え？」

『私が気になってるのは、…事件じゃなくて新一のことだもん』



一瞬この場に沈黙が流れる。

真っ直ぐ見つめたままでいれば、じわじわとコナンくんの顔が赤くなっていくのがわかった。




「あっ…と、それ、は…」

『───なんてね』

「えっ」

『首突っ込むのもそこそこにしておかないと、痛い目合っちゃうぞ』

「うわ」



つん、とおでこを強く押してやった私はみんなのいる場所へと歩き出す。

……また、逃げちゃった。

□２７．→←□２５．

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す