【名探偵コナン】世界はあなたの色になる。【から紅の恋歌】

□１２． ページ13

「この子がそうなん？」


品定めするような眼差し。

…でも、やっぱり美人さんだ。
凛とした着物がよく似合ってて、強気な瞳に不覚にもドキッとしてしまう。


「言うたら平次くんと一緒に居てはりましたけど、一体どないな関係なんやろ」

「っ、ちっちゃい頃からいっつも一緒で、平次はあたしの…！あたしの…、」



そこまで言って止まった和葉ちゃんの頬がじんわりと赤く染まっていく。

…ふふ。可愛い。



「大好きなんだよねっ？」

「見てたら分かりますよ！」

「バレバレだぞ！」


和葉ちゃんに代わって言葉にしたのは歩美ちゃんだった。それに続いて光彦くんや元太くんも楽しそうに笑いながら言う。


「口挟まんといてっ！！」


顔を赤くした和葉ちゃんが叫ぶと、紅葉さんはくすりと口元に笑みを浮かべた。



「“しのぶれど”…やなぁ」

『しの、ぶれど…』



思わず復唱してしまった私は慌てて口を閉じる。


「幼馴染で恋愛ごっこ、ほんま和みますわぁ」

『う…』


別に自分に言われたわけじゃないのになんかグサッと来るものがある…。

ちらりとコナンくんを見てみるけれど、彼は薄く苦笑しながら彼女らのやり取りを見ていた。


「ほんならこうしましょか？…明後日の大会、優勝した方が平次くんのお嫁さん第一候補。先に告白して平次くんをゲットする…」


腕を組みながらも自信満々で「これでどないです？」と言う紅葉さんに、さすがのコナンくんも目を丸くさせて前のめりになった。

まじかよ、なんて言いたげに。


『お、およ…』


お嫁さん候補って…！！


「ちょっと、何言うてるの！」


未来子ちゃんが驚き半分呆れ半分のように言うけど、紅葉さんは動じない。


「あんたが本気なんやったら、それくらいの覚悟はできてますやろ？」

「和葉、こないな勝負受けることないで？」

「言うときますけど、────ウチは本気です」



それだけを言い残して私たちに背を向ける彼女。

唖然として何も言い返していなかったはずの和葉ちゃんが、遂に「待ちい！」と彼女を止めた。




「…その勝負、受けたるわ！」



その真っ直ぐな眼差しに、私は押されるように呆然と彼女を見上げた。

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