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ピコン、という無機質な電子音が痛いくらいに静かだったCICに響いた。
「まさか…!──び、微弱ですが電波を探知!どんどん強くなってます!」
「Aだ…!Aはそこにいる!ヘリを向かわせて!!」
振り返った俺は必死に叫ぶと、艦長が眉をひそめて力強く頷いた。
「ただちに哨戒ヘリを急行させ!」
「了解!目標座標、本艦より北西4キロ、北緯36度4分、東経135度!SHはただちに捜索ポイントに向かわれたし!」
「了解!ただちにポイントに向かいます!」
子供たちの泣き声は止み、園子や蘭も涙で潤んだ瞳を呆然と隊員へ向けている。
まだ、あいつは…!
「捜索ポイント直上ですが、視界不良です!その上、西日による波の反射が酷く…日没までに発見するには困難かと…」
波の反射…?
…ひとつだけ、思い当たる節があった。
「ねぇ!その反射、1箇所だけすごくキラキラしてる場所があるんじゃない…!?」
無線の向こうで「え、えっと…」と口ごもるのに対して、七海さんが「どうなの?答えなさい!」と急かすように言う。
「は、はい!海面の1部が、妙にキラキラとヘリの照明を反射して…」
「それだ!その光を追って!!Aはその先に居るはずだ!!」
一瞬不思議そうに目を見張った七海さんだけど、艦長に俺の言う通りにするよう頼み込んでくれる。
艦長も、その言葉をすぐに飲み込んでくれた。
「光る浮遊物をたどれ!密集ポイントに遭難者が居ると思われる!」
了解、という声がしてからすぐに密集しているポイントに到着したという無線が入った。
地面にへたり混んだままの蘭が目を閉じて祈る。
A、あと少しだ、頑張れ───…
「直下に何かあります!…明らかに浮遊物とは違います!」
この場にいる全員が期待と絶望の両方を含んだ、祈るような眼差しでモニターを見つめた。
「───発見!!遭難者を発見!生存を確認、これより救助します…!!」
その言葉がどれだけ安心することだろう。
子供たちの喜ぶ声はもちろん、隊員たちの歓声も沸き起こる。
はっとして立ち上がった蘭と、喜ぶ園子が抱き合う。
「…はぁ、」
一息ついた俺は、ポケットから出した金色の名刺を見て、ふ…と頬を緩める。
───おっちゃん、ありがとう。
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ゆうみん - 頑張って、もう少しだよん、コナン君達助けてくれるよん、次回楽しみにしてます (2019年5月28日 21時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみんさん» ぜひぜひ楽しみにしていただければ光栄です!毎度コメントありがとうございます! (2019年5月28日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - やばいぞ、彼女ちゃん海おちゃたあ、早く助けに行かなくちゃあ、コナン君達はどうなるの楽しみです (2019年5月28日 17時) (レス) id: 031a0bf45d (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ(プロフ) - ゆうみん さん» 楽しみにしててください!!!!笑 これからどんどん展開が進みます!!笑 (2019年5月26日 18時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - あああ、気になるあ、どうなるの、犯人は、彼女ちゃん達は次回楽しみにしてます (2019年5月26日 17時) (レス) id: bf7cef9bae (このIDを非表示/違反報告)
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