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「爆弾はどうやって手に入れたの?」
「南米で知り合った奴の中にその手のプロがいたんだ」
「その爆弾を9つのスタジアムに仕掛けたんだね、…そして、10番目のスタジアムは国立じゃなく…この“東都スタジアム”だった」
この間の爆破でまだ修復を終えていないこのスタジアムの中をぐるりと見渡す。
「国立に仕掛けたのはダミーのセンサーだったんでしょ?」
…だから、真田選手のシュートにも反応しなかった。
国立を外したのは中岡さんにとっての聖地だから。
代わりに、彼がJリーガーとしてピッチに立ちたいと願っていたこの東都スタジアムに爆弾を仕掛け、5時50分に爆破するようにセットした。
俺は彼に推理を一つ一つ話す。
「…小五郎のおじさんが暗号を解いてここに来たら、一緒に死ぬつもりでね」
俺の言葉にも、彼は黙ったまま見下ろしてくるだけ。
妙だな…なんてことは思わずに俺は話を続ける。
「この5時50分で、雪の国立で拝戸高校が日本一になった時刻だよね?…だから5時50分に、って書かないで、試合が終了した時刻にって書いたんだ」
「ああ、そうだ。俺にとってのサッカーの試合はあれが最後だったから、俺の最後はここからってな」
「中岡さん、90分間ピッチに立ち続けられない人間にサッカーをやる資格はないって言ってたそうだけど…それって間違ってるよ」
真っ直ぐと見つめたまま言った俺に、彼は「なに…?」と眉をひそめる。
「体が弱くて少ししか出られなかった知史くんに、サッカーをやる資格は無かったの…!?」
問いかける俺に分かりやすく顔を歪ませた中岡さん。
「15分しかピッチに立てないなら、それを生かす方法を見つければいいじゃない…!!」
ふ、と鼻で笑うかのように零した中岡さんが「お前のようなガキに何がわかる」と上ずった声で言った。
「確かにね!でも本物のJリーガーなら言うはずさ!あなたは本当のサッカーを知らないって!」
サッカー教室で遠藤選手が言っていた言葉を思い出す。
…マイナスをプラスに変えることは可能だって。
「それに中岡さん、あなたが知らないことはまだあるよ。…それは───、」
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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