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「これでアリバイ工作は完成したってわけさ」
ポケットに手を入れ、暗い中に立つ1人の影を見上げる。
「逆に言えば、この時完璧なアリバイがある人間が犯人。そうでしょ?この時警察に捕まって留置所にいたという、完璧なアリバイがある…元杯戸高校のエースストライカー…“中岡一雅”さん?」
近づいてきたその影は、徐々に原型を留めていく。
俺の目の前に立った中岡さんは、小さく口だけで笑うと「ガキの癖に大したもんだ」と吐き捨てた。
「…名前、なんて言うんだっけ?」
「江戸川コナン、…探偵さ」
side change.
「そんな顔しなくても、工藤くんなら大丈夫よ」
『あ、あは。…そんな顔って?』
哀ちゃんが私の言葉に呆れたようにため息をついた。
…ほんとは不安だし心配だけど、新一のこと信じなきゃって思ったし。
『…ちゃんと待ってるって言ったから』
私がそう言った直後だった。
まるでフラグを回収するかのように、子供たちがソワソワし始める。
「…誰も通りませんね」
「うん…」
「だったらよ、俺らも爆弾探すの手伝った方がいいんじゃねーか?」
ドームは広いし、みんなで探した方が早い…なんて結論が子供たちの中で出る。
…けど。
そんな3人に、もちろん哀ちゃんは「だめよ!」と窓の外を見ながらも言う。
「ドームの中は危険。江戸川くんが戻ってくるまで──…」
彼女が話している途中で、ドアが開き車の中に明かりが灯る。
『待ってみんな!』
「ちょっと貴方達!」
少年探偵団出動だ、なんて言い出すと走って行ってしまう。
もちろん博士は「大変じゃ…!」と慌てる。
『すぐに連れ戻さなきゃ!』
「博士はここで待機、子供たちは私たちに任せて!博士は犯人が逃走したらすぐに追えるようにエンジンかけといて!!」
哀ちゃんの言葉に押された博士は「あ、ああ…」と車の前で立ち止まる。
…ごめん新一。
ちゃんと待ってるって言ったのに、その約束破っちゃうや。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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