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『あ、足が震え…』
「無理すんな、そこで待ってろ!」
細い足場にさすがの私も怖くて最初の一歩が踏み出せない。高いところは好きだけど。
そんな私に気がついた新一は、ゆっくりと綱渡りみたいにして奥へ渡り、手を差し伸べた。
『でも…』
「俺が受け止めてやっから、早く…!」
『…ん、』
ここでモタモタしてる暇は無い。
差し伸べられた手を握ると、ぐいっと引っ張られて新一に抱きとめられた。
……近いよ、
なんて意識してるのはきっと私だけだろうけど。
「くっそ、どこにもねぇ…」
追跡メガネを使って探す新一だけど、ぱっと見で見つからないらしい。
…どこに仕掛けられているんだろうか。
「行くぞ…!」
またもやスケボーに乗った私たちは、客席の上の柱を行く。真下にはワイワイ騒いでいる観客が居る。
…ねぇ、やっぱちょっと怖い。
そう口にしようとした時だった。
「やべ…っ!」
段差の角にぶつかったスケボーの軌道がズレて不安定になる。
『あぶな───…っ』
ぎゅうっと強く抱きしめられたかと思えば地面に転がった。
スケボーが地面に落ちた音が聞こえる。
…落ちる寸前のところで止まることが出来た私たち。
むくりと体を起こした私は、地面に伏せる新一の肩を揺らす。
『新一…』
「う…、」
一瞬だけ肩を強ばらせた新一は起き上がるとポケットから携帯を取り出す。
なにやら哀ちゃんから着信が来ていたみたい。
「ナイスタイミングだ、灰原」
「工藤くん、それにAも!そんなところで何を…!」
「近くに元太たちはいないな?」
「ええ、大丈夫よ」
このスタジアムに爆弾が仕掛けられていることを話した新一。電話の向こう側で哀ちゃんが息を呑んだのが私にも伝わった。
少し歩いたところでスタジアムの中を覗き込む。
「悪ぃ灰原、かけ直す!」
一方的に通話を切った新一は追跡メガネで電光掲示板の裏の柱を見る。
『あった!』
「ああ、…それも電光掲示板を吊るす柱を的確に」
『それじゃあ…』
私は下を見下ろす。
もちろんそこには沢山の観客がいて、試合を観戦しているところだ。
『犯人はこの柱ごと電光掲示板を落下させる気なんじゃ…』
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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