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新一 side.
「はい、それ被ってあなたもスピリッツ応援しなさい」
渋々と座り直した俺の頭に被せられた帽子。
隣に居る灰原を見れば、うっすらと口元に笑みを浮かべてる。
「え、だってオメー…」
「大丈夫、あたしは新しいの買ったから」
そう言って彼女が取り出したのはスピリッツ…ではなくてビッグ大阪の帽子。
「ビッグ大阪?…お前やっぱり」
「勘違いしないで、色が気に入っただけよ」
「ったく、素直じゃねーなぁ」
やっぱり好きなんじゃねーか。
…という言葉は飲み込んで、帽子のツバを後ろに向ける。
ふと、隣からの視線に気がついた俺はちらりと横を見る。
「……なんだ?」
『…いや、服部くんみたいだなって』
「…はは、」
俺をじっと見つめていたAは、小さく笑ってそんなことを言い出す。
───かと思えば、試合に視線を戻してキラキラと楽しそうな表情を浮かべてる。
……相変わらずコロコロ変わる表情だな、こいつは。
「あら、あなたは試合よりも彼女に夢中かしら?」
「ばっ…、ちげーよ」
子供たちに混ざってワイワイ応援しているAを無意識で見つめていたらしく、灰原に指摘されて椅子に座り直す。
…せっかく試合会場まで見に来てるっていうのにこいつの顔見てどうすんだ俺は。
·
ハーフタイムに売店やトイレに行くのは俺らだけではないのは当たり前。
売店の前は混み合っていて、ついさっきトイレに行ったAが戻って来れるかが心配になる。
…どこか抜けてるけど、蘭みたいに方向音痴では無いし大丈夫だとは思うけどな。
人混みの中で売店の列に並んでいると、ポケットに入っていた携帯が震えた。
取り出して見てみれば蘭からの着信。
「……悪ぃ、俺ちょっとトイレ!」
それだけを告げると、俺はこの場を駆け出した。
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ぱぴこ(プロフ) - 茜さん» ありがとうございます!!そう言っていただけると嬉しい限りです!!ぜひこれからもよろしくお願いします! (2019年5月23日 20時) (レス) id: 9511f3d914 (このIDを非表示/違反報告)
茜 - おおおお毎回お話が面白すぎて毎日楽しみです!頑張って下さい! (2019年5月22日 18時) (レス) id: fc9bd81442 (このIDを非表示/違反報告)
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