おわれる者

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第六話ページ7

合格通知開封の翌日、午後8時15分
海岸には2人の影が映っていた。
｢それから少年にはもう一つ言わなければいけない事がある｣
｢なんでしょうか｣
｢以前、雄英で私の“個性”OFAについて知っているのは根津校長とリカバリーガールだけだと言ったね。しかし、もしかしたらもう一人、知っているかもしれないんだ｣
｢かもしれないっていうことはつまり…｣
｢そうだ。私は教えていない｣
｢じゃ、じゃあどうして！どうしてその人は知っているんですか！？｣
｢分からない。校長やリカバリーガールが言ったとは到底思えないし、特にそういった知らせもないんだ｣
｢ち、ちなみにその人って…｣
｢あぁ、少年には特別に教えておこう。彼女の情報は外部には明らかになっていないからね。…彼女の名は風間A、疾風ヒーローウィンディーさ｣
｢えっ！ウィンディーって、あの、風のように事件を解決し多くの敵逮捕に貢献するもののメディア出演は全くなくプロフィールもあまり公開されていない謎の多い彼女が、あのウィンディーが、雄英にいたなんて！｣
｢くー！このヒーローオタクめ！しかしまぁ、彼女が何故かOFAについて知っていたんだ。そして君の試験の様子を見て｢後継者｣だと気がついていた｣
｢僕の試験を見て…｣
｢まぁ、彼女が敵だというのはしばし考えにくいが、まだ不確かなことが多すぎる。彼女は今年3年担任になるから、恐らく君との接触は少ないだろうが一応警戒しておくようにしたまえ｣
｢わ、わかりました。気をつけます｣
つい先日、彼女と親しくなったばかりだというのに、自分の惚れた人が敵だなんて考えたくはない。もしAが敵だとしたら、果たして私は彼女を捕らえることができるだろうか、いや、Aが味方だって可能性もまだある。
｢オールマイト…？｣
｢あぁ、すまない。少し考え事をしていた。私も彼女のことを見ておくよ。緑谷少年も何かあったらすぐに連絡するように｣
｢はい…｣
｢話が長くなってしまってすまなかったね。さぁ、夜も遅いそろそろ帰路に就くとしよう｣
｢は、はい！それでは、失礼します！｣
緑谷少年、本当に大丈夫だろうか。しかし、急な出来事すぎて対処も難しいし、変にAのことを刺激するのも良くないだろう。彼女ともあれきり話をしていない。心苦しいがAとは距離を置かなければならない。緑谷少年のことを気づかれているのならば尚更だ。そんな状況でもなお、Aのことを愛しく思ってしまうなんて…まったく困ったものだ。