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俺には向けてくれなかったから。 ページ44

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イブラヒム side






多分ていうか、絶対的というか、
かなり好きだと思った。



フレンとメリッサと飯を食べ終えて、

教室に戻る途中で聞いた話。





あまねを助けて、
Aが落ちて、叶さんがそれを受け止めた、

って話で。




妙なほどに胸がザワついた。

だから、保健室に行けば、
手を握られてるAがいて、

話を聞けば告白された、の言葉には焦った。




いや、前々から気づいてはいた。


叶さんがAを好きな事。
わかりやすかったから。




好きになった理由も何もかも、同じだと思った。


誰が相手でも変わらない態度とか、
案外ちょろい所とか。

自分にも周りにも素直なところとか。




好きで、好きだな、って思って。





イブラヒム「どっか寄るって言ってた気がする。
いまなら、駅とかに着く頃じゃない?
もうそろ、帰る時間だろうし。」


「ありがとう、」


イブラヒム「A。」




「なに、どした。」


イブラヒム「まじで、好き。」




「……………私の事、好きになってくれて、
ありがとう。イブラヒムくんと知り合えて、私、
嬉しかったよ。
でもごめんね、私行かなきゃ。
またね、イブラヒムくん!!」





そんな、真っ直ぐなとこが好きだった。



走り出して、階段を降りていく背中を見つめた。
落ち防止の柵に寄りかかって、

ズルズルと座り込む。





ぽろぽろと、涙が溢れてしまう。

泣きたくなるほどに好きなんだよなぁ。
全部、…………全部。





保健室で出会って、

真っ直ぐな瞳で、



変わらない態度でいてくれたから。
あの時、出会った時から、

好きになる運命だったのかもしれない。





イブラヒム「あ"ーーーー…………、
すげぇっ、悔しいっっ、〜〜〜っ、なんで、だよ。」





ちゃんと、ありがとうって言える子だった。
ちゃんと、気持ちを素直に言える子だった。



ちゃんと、俺を見てくれる子だった。

どこを見ても、好きで好きで、




皆に教えなきゃ良かったな。
俺だけが、知ってればよかったのに。



けど、ずっと前からわかってた。

断られるってわかってた。
だって、見てたし、ずっと。





叶さんに向ける表情一つ一つが柔らかくて、


俺には一切向けてなかったから。





スマホを取りだして画面を見る。
前にここに来た時に、


月明かりに照らされたあの子の横顔。





イブラヒム「すげぇ、好きだ。」




あぁ俺、すげぇ惚れてんだなぁ。

そーゆーの、マジ求めてないです。→←「ごめん!!!!」



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ふしみや(プロフ) - 完結おめでとうございます!fwくんの新作も読ませていただきます! (2023年4月10日 8時) (レス) @page50 id: ab0c092877 (このIDを非表示/違反報告)
やた - まってまってここに神いるマ?ぇ、ほんとに好きですがんばってください好きです (2023年4月4日 15時) (レス) @page34 id: 2bbfab8645 (このIDを非表示/違反報告)
侏儒(プロフ) - 書き方がめちゃ好きです!後方腕組彼氏面で応援しまくってます!((ちなみに薺ちゃん推しになりました(( (2023年4月2日 19時) (レス) @page32 id: ea70dcd67b (このIDを非表示/違反報告)
ろぜった - 初コメ失礼します。すごくすごくすきです!主人公ちゃんも齋ちゃんもめためたかっこよくて最高です。これからも更新頑張ってください! (2023年3月29日 19時) (レス) id: 39b04079dd (このIDを非表示/違反報告)
ティッシュ - 最高です。主旨は違うかもしれないのですがもしや油夢を書く才能が輝いてませんか!?ココ最近で1番ドキドキしてます。あわよくば単体夢書いて頂きたいレベルで好きです。。最後まで応援させてください! (2023年3月28日 0時) (レス) @page26 id: 07e0444dac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことり | 作成日時:2023年2月2日 9時

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