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脳に残るように。 ページ44

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玲王 side






名前を呼ばれるだけで、



こんなにもときめくなんて、
微塵も思わなかった。




許可した覚えもない奴らからの、

甘ったるいような、
媚びを売るような声じゃない。

真っ直ぐとした、





凛とした声で呼ばれたから。


ぶわっ、と体内から吹き出る感覚になる。
わかりやすい、と言われたら困ってしまうけど、




でも、確かに分かってしまったから。

逃げるようにと教室へと戻った。




バクバクとしたような心臓が煩わしい。
それでも、俺の事を気にする奴らは多かった。

心配そうな声だけど、




でもあいつとは違う声で。


だから、脳の奥に刻もうとしてしまう。
もう呼ばれないかもしれない、

なんて妙に不安がって。





それから、午後の授業が、
頭には入らなかった。

揺れるような感覚に陥りながらも、




変わらないような時間がそこにある。

このままでいいと思った。
けど、そんなんじゃ満足出来ない性格だから、




きっと、手に入れたいとは思う。

でも、俺が手に入れていいような、
そんな人ではない。





俺以上に、もっと素敵な誰かがいるから、

って、それは言い訳だけど。
でも、だって。






玲王「斐田さんのこと、好きみてぇじゃん。」




ぼんやりとしたような呟きをこぼす。



幸い、授業内容が内容なのもあり、
周りの奴らは寝てるし、


先生はダラダラと説明していた。





いや、いやいやいや、そんなことないって。

あんだけ言っといて?
今更?今更好きとか、絶対にない。




んな事言ったら、また泣かれるだけだし。


って、違うだろ。





傷つけたくない、って思うのも、
泣かせたくない、って思うのも。


全部、好きだからなくせに。





前々から気づいてはいたけど、

でもきっと、認めるのには、
時間がかかったから、尚更だ。





揺れるような瞳を見つめてしまったから。


玲王「あーーー、…………マジか。」





消しゴムで答えを消した。




間違いだったけど、
間違いではないように思えて。

脳に刻まれたようにと、斐田さんの声が響く。




優しいけど、真っ直ぐな声で俺の名前を呼んでくれたから。


だから、
それに溺れてもいいと思ってしまったから。





微睡みそうな午後の授業で、


気づいた心の音に、
俺は何を思うんだろう。





外の快晴が、俺を笑っているような気がしたけど、

悪い気分じゃなかった。

御影玲王が好きです。→←あーーもう、馬鹿。



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りす(プロフ) - 最高です!こんな言葉で言い表せないほど、良かったです!!読んでいる間は至福の時間でした!主様の作品はどれも好きです!応援しています! (8月22日 23時) (レス) @page50 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
まつり - 言葉の選び方が本当に素敵すぎて途中泣きそうになりました...これタダで読めてるってマジか!本出して欲しい切実に。 (5月16日 12時) (レス) @page50 id: 3541bd87bc (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - 最後の最後でやべーやつでわらいました笑笑 さすが玲王… (2023年3月2日 1時) (レス) @page50 id: 3f4ee46d03 (このIDを非表示/違反報告)
るるる - 完結おめでとうございます!マジで最高でした!ヤンヘラ玲王くんいいですね。。 (2023年2月26日 2時) (レス) @page50 id: 648f5dae27 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 最高でした!!これからもご活躍を願っています (2023年1月31日 22時) (レス) @page50 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことり | 作成日時:2023年1月2日 22時

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