逃げられないスタッフ。 ページ36
.
例えいくら気まずいってことを理解していても、
傷ついても、
やはり私はお金が欲しい。
目の前で、あからさまに目を逸らしながらも、
説明をしてくれる御影くん。
すいません御影くん、
一応あなた御曹司なら、
感情のコントロールぐらいはしてくれません?
玲王「普通は来ないはずだろ。」
「お金は必要だし、
出費もあるし、お金は大切だもん。」
玲王「お金への執着心強すぎるだろ。」
「必要だから。」
玲王「悪かったって!」
「それに、約束したことは、
私は守る人間なのでね。」
玲王「喧嘩売ってんなら買うぞ。」
あーゆー事があった後って、
気まずいもんだと思ってた。
けど、案外そうでは無いのは、
私たちだけなのかもしれない。
というか、そもそも私が、
そこら辺を気にしないタイプの人間だからだろう。
ある程度の修羅場をくぐり抜けると、
ある程度のことはどうでも良くなるためだ。
仕方がなかったんや。
そんなことをぼんやりと考えながら、
渡された資料に目を通す。
仕事内容は至ってシンプルだった。
受付をして、セミナー受講者に首掛けを渡し、
それと一緒に資料を配布するとのこと。
予約していた人と、当日来た人で分かれているらしい。
それを聴きながら、頭に入れた。
そうすると、わしゃっ、と頭を撫でられるから、
思わずびっくりして見上げる。
玲王「んじゃ、宜しくな。」
人のこと言えないよ、それ。
他の人に呼ばれたがために、
そっちに行く御影くんの背中を見つめていた。
配布された資料で顔を隠す。
絶対に今、顔が赤いからだ。
心臓に悪かった。
死ぬかと思った。
ていうか、それは無意識ですか、と聞きたくなる。
はぁーーっ、とため息を吐き出しては、
他のスタッフさんに呼ばれたため、
そこへ移動する。
『顔赤いけど、体調大丈夫?』
「大丈夫です、緊張しているだけなので。」
っはは、と笑いながらも、
時間は止まってはくれやしない。
入場開始となれば、それはそれはやはり凄かった。
御影の苗字なのか、
それとも御影玲王だからなのかは分からないけど。
世界は、ここに居た。
それを考えながらも淡々と仕事をこなすだけ。
いつも通りだな、なんて思うから。
私は、変われてないままなのかもしれない。
そんなことをぼんやりと考えてしまう。
馬鹿なのは、私の方なのかも。
974人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りす(プロフ) - 最高です!こんな言葉で言い表せないほど、良かったです!!読んでいる間は至福の時間でした!主様の作品はどれも好きです!応援しています! (8月22日 23時) (レス) @page50 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
まつり - 言葉の選び方が本当に素敵すぎて途中泣きそうになりました...これタダで読めてるってマジか!本出して欲しい切実に。 (5月16日 12時) (レス) @page50 id: 3541bd87bc (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - 最後の最後でやべーやつでわらいました笑笑 さすが玲王… (2023年3月2日 1時) (レス) @page50 id: 3f4ee46d03 (このIDを非表示/違反報告)
るるる - 完結おめでとうございます!マジで最高でした!ヤンヘラ玲王くんいいですね。。 (2023年2月26日 2時) (レス) @page50 id: 648f5dae27 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 最高でした!!これからもご活躍を願っています (2023年1月31日 22時) (レス) @page50 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ことり | 作成日時:2023年1月2日 22時