｢貧乏生活から脱却したいので、｣[ 終 ]

我儘になってみれば？ ページ28

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凪 side





斐田さんは、少しばかり遠慮気味な気がする。




流川さんとか、玲王とかは、
欲に忠実っていうか、

他を巻き込んででも、やり遂げようとかする。





俺も巻き込まれたわけだし。


もちろん、斐田さんもたまに欲に忠実だけど、
それは金銭に関することだと思う。





恋愛ごとは、結構あれだし。


別に、婚約者なだけで、



付き合ってる訳でもないんだから、
気にしないでいいのに。

なんて、これは俺の考え。





凪｢我儘になっていいと思う。｣


｢え、｣





凪｢欲しいならちゃんと手に入れなよ。
俺はそーゆーのめんどくさいから嫌だけど、
でも、斐田さんにもその権利はあるでしょ？｣


｢けど、これ以上を欲しがって、｣





凪｢他を失いたくないって言うけど、
斐田さんはこれ以上とか、失わなくない？｣

｢さりげなく嫌なこと言った？｣





凪｢ありゃ、気づいた？｣



はぁーー、とため息を吐き出す彼女を見つめる。



ゆらゆらと揺れる瞳の奥にある感情は、
諦めきれない、といったところか。




俺にとっては、めんどくさいだけだし、

そうやって泣くくらいなら、辞めればいいのに、って。





思うのに、彼女が真っ直ぐと立ち向かおうとして、
ちゃんと受け入れようとしているから。


それを、認めないなんてことは無いでしょ。






｢我儘になるっていっても、
私、ちゃんとした恋、初めてなんだけどね。｣


凪｢告白してふられてるもんね、｣

｢デリカシーって言葉知らない？｣




凪｢フラれて終わりではないんじゃない？
振り向いて貰えるようにするだけでしょ。｣


｢それが出来たら苦労してないの。｣





そう言われるから、
少しだけ考えてあげた。


どうせなら、俺は斐田さんと玲王には幸せにはなってほしい。

めんどくさいけど、玲王は俺に興味を持ってくれたから。




玲王の夢は叶えてあげたいとは思う。
俺がここまで誰かを気にするなんて、珍しいな、

なんて自分でも思ってしまった。





背もたれに体を委ねながら、少し考えて。





凪｢玲王の気持ち試してみれば？｣


｢なんで、｣





凪｢玲王が、そこまで誰かを気にするって、
珍しいなと思ったから。
俺の事ばっかなのに、斐田さんのことも気にしてたから。｣




諦めた方が早いし、その方が楽だってことは知ってる。



けど、斐田さんには諦めさせてなんかやらない。
そんなの、




俺が許さないだけだけど。

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