所謂ライバル登場ってやつ。 ページ21
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『席つけー、転校生いるからって、
うるさくするなよー。』
気の抜けたような返事が響く。
起き上がっては、前を見た。
凪くんは変わらずに寝たままだけど。
それを見つめたまま、
少しばかり高めの声がひびき、がらりっと扉が開く。
正しくそれは、完全なる、
社長令嬢、という文字が頭にチラつく。
整えられたような黒髪。
それは艶めいて、天使の輪が出来るほど。
美人と言えるほどの顔立ちに、
優しい微笑みはまさしく女神、と言えるだろう。
心の底から、負けた、と思った。
流川「流川佳奈と申します。
いきなりの転校ではありますが、
本日からよろしくお願い致します。」
流川佳奈。
流川財閥のお嬢様。
御影コーポレーションには劣ってしまうが、
日本を代表する企業である。
隣の席とかそんな展開ないだろ、と思っていても、
私は隣の席になってしまう。
仕方がない。
だって、空いているのだから。
そこにお淑やかに座る彼女。
一つ一つが丁寧な仕草だった。
流川「よろしくお願いします、」
「よろしく。」
流川「あなたですよね?」
「なにが。」
流川「玲王くんに告白した一般人って。」
その言葉のせいで、
周りの声がより一層うるさくなる。
耳を押えながら、ため息を吐き出した。
何よあの人、彼女に相談したって訳?
最悪なんだけど。
本当に信じらんない!
「御影くんから聞いたの?」
流川「前々から苗字狙いの子が一人いる、とのことでしたので。」
「否定はしないし、苗字狙いだよ。」
流川「おいくらですか?」
「なにが?」
流川「おいくら出せば、
あなたは玲王くんを諦めますの?」
その問いかけの意味を、少し理解したくないな、と思った。
ここでお金を貰ったとて、
私はきっと、妹たちに背を向けることになる。
そんなはした金いらないとか言いたいのに。
きっと私は。
「あんた、御影くんと同じこと言うんだね。
私、そーゆーので生きるのは嫌なの。
お金を、命を、軽く見てる証拠だよ。」
そう言うと、彼女は肩を揺らしていた。
休憩時間になり、
御手洗に行こうと立ち上がり、教室を出ようとすれば。
彼女の声が響く。
りんっとした声が、私の鼓膜を刺激する。
流川「人の婚約者に告白しといて、
なにをそんなことを!!」
「箱入り娘、さっさと箱に戻ったらどう?」
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りす(プロフ) - 最高です!こんな言葉で言い表せないほど、良かったです!!読んでいる間は至福の時間でした!主様の作品はどれも好きです!応援しています! (8月22日 23時) (レス) @page50 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
まつり - 言葉の選び方が本当に素敵すぎて途中泣きそうになりました...これタダで読めてるってマジか!本出して欲しい切実に。 (5月16日 12時) (レス) @page50 id: 3541bd87bc (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - 最後の最後でやべーやつでわらいました笑笑 さすが玲王… (2023年3月2日 1時) (レス) @page50 id: 3f4ee46d03 (このIDを非表示/違反報告)
るるる - 完結おめでとうございます!マジで最高でした!ヤンヘラ玲王くんいいですね。。 (2023年2月26日 2時) (レス) @page50 id: 648f5dae27 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 最高でした!!これからもご活躍を願っています (2023年1月31日 22時) (レス) @page50 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年1月2日 22時