泣いた心は砂漠地帯。 ページ20
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学校に行きたくないと、
心の底から思っていた。
けど、行かないとなーと思いながらの朝。
妹たちと途中までの道のりを歩く。
瑞季「A姉、失恋でもした?」
「したのかもしれない。」
遊「え、どこの誰が?」
「御影玲王。」
遊「大丈夫?カチコミに行く?」
「辞めなさい。」
はぁーー、っとため息を吐き出しては、
通学路の途中で別れる。
気持ち切り替えなきゃな、
もう辞めにしなきゃ。
そう思うしかなかった。
再度ため息を吐き出しながら、
学校に行く。
コソコソとしたような噂があった。
私のことかな、と思いながら、教室へ行けば、
それはただの自意識過剰だということが分かる。
なぜなら、周りの反応がそれだったからだ。
『今日転校生来るんだって!』
そんなアニメや漫画みたいなことが、
現実に起こるのか、なんてことを考えてしまった。
そんないきなり来るもんなんだ、と思っていれば、
変わらずに凪くんを届ける御影くん。
「あ、」
玲王「はよ、」
「え、あ、おはよう。」
それからは静寂だけが響いていた。
クラスメイトたちの声もなく、
視線は何か言いたげではあったけど。
そんなことを考えながら、
机の中にノート類を入れていた。
当たり前だ、前までのやり取りがないのだから。
だからといって、物珍しく見ないでもらいたい。
私は別に、何も無いのに。
「なんか用?」
玲王「今日の転校生、俺の婚約者なんだ。」
「………………は?」
その言葉の後に、クラスメイトは、
騒ぎ出していた。
なんで、それを私に言ったのだろう。
告白して、振られて、それで終わりでいいのに。
まるで、故意があるみたいで。
すごく嫌な感じ、って思う。
やっぱり、違うんだなぁ、何もかもが。
「関係ないよ、そんなの。」
玲王「……………わりぃ、じゃあな。」
そう言って、教室を去る背中を見つめた。
逃げ出したのは私で、
勝手に好きになったのも私。
それは間違いだと言うかもしれないけど。
あれは確かに、恋だったんだと思う。
馬鹿だなぁ、私。
振られたら諦めきれると思ったんだけどなぁ。
そんなことはなくて、
変わらずに挨拶をしてくれた彼がいたから。
思わず、机に顔を隠した。
あーー、これはかなり重症なのかもしれないな。
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りす(プロフ) - 最高です!こんな言葉で言い表せないほど、良かったです!!読んでいる間は至福の時間でした!主様の作品はどれも好きです!応援しています! (8月22日 23時) (レス) @page50 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
まつり - 言葉の選び方が本当に素敵すぎて途中泣きそうになりました...これタダで読めてるってマジか!本出して欲しい切実に。 (5月16日 12時) (レス) @page50 id: 3541bd87bc (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - 最後の最後でやべーやつでわらいました笑笑 さすが玲王… (2023年3月2日 1時) (レス) @page50 id: 3f4ee46d03 (このIDを非表示/違反報告)
るるる - 完結おめでとうございます!マジで最高でした!ヤンヘラ玲王くんいいですね。。 (2023年2月26日 2時) (レス) @page50 id: 648f5dae27 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 最高でした!!これからもご活躍を願っています (2023年1月31日 22時) (レス) @page50 id: 5a9946419b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2023年1月2日 22時