推しが路地裏から飛び出してきた。[ 終 ]

勘違いであれ。 ページ17

.






多分あの痛みは勘違いだろう。




きっと、私と冴くんだけの思い出だと思っていたのを、
ナタリーさんと冴くんの思い出になっていて、

ほんの少しのジェラシーが出ただけ。





そうに違いない。


ナタリーさんも日本に来るのは、
久しぶりだから、

案内してあげたんだろう。





瀬山Aツアー使ったんだから、


お金払ってくれないかな。
まぁ推しであれ、って感じだよね。





トミッターでは、


ナタリーさんと冴くんの話題ばかりである。
イニシャル入りキーホルダーのこととか、

プライベートのこととか。





え、この騒ぎの中、映画なの？


辞めない？って言おうとしても、
連絡するな、って言われてるしな。


うーん、と悩んでいれば、




鳴り響く通知音。




画面には[ 冴 ]の文字に肩を揺らす。





｢どぇ、え、キャンセル！？
キャンセルかなぁ！！！！｣




期待を抱きながら、内容を見れば。





冴[ 明日遅刻したら殺す。]





の文字である。
それに思わず、スマホをベッドにぶん投げてしまった。


クッションに顔を埋めての叫び声を上げる。





バタバタと暴れていれば、

お兄ちゃんから壁をドン！！とされては、
｢うるさい！！！！｣の声が響いた。





すいません。





クローゼットを開けて、服を見た。



糸師冴、好みのタイプとか、
全く知らねぇや。

いや、別に好みでなきゃいけないとか、ないけど。





いやでも、え、え？？？



そう困惑しながら、
とりあえず服のコーデを見繕った。

隣を歩いても恥にならないもの。





てか、糸師冴の私服。


冴くんの私服！？
そうか私服、ふーん、好きだな(まだ知らないのに)





大人っぽい感じか、

それかストリート系か。





いやでも、どんなだ。
何着てくるんだ、糸師冴。




｢推しが、分からない。｣





とりあえず雑誌や新聞、
ニュースに写ったのを切り抜いたのを出した。


私服どれもかっこいいな。





大人っぽいやつでいいかな。

なんて、あれやこれや考えてしまう。
明日早起きして、髪のセットしなきゃ。






｢くそ、カッコよすぎだろ、私の推し。｣






切り抜きを改めて見返すが、
何だこの量。


なんだ、10年分の愛か(重たい)






とりあえずお風呂はいってスキンケアしよ。




サッカーラジオを流しながら、
スキンケアしてたのなら、



ゲストでの糸師冴に、パッケを落とした。





糸師冴？？？？？

人は狡い生き物なの、それは私もなんだけど。→←愛すべき日常。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す