ーー。 ページ15
.
乾 side
酷く自分を呪った。
あの日、助けられた時、
俺じゃなくて赤音を助けたかったってことも、
わかりきっていた。
俺じゃなくて、赤音ならココを幸せにできたのかなとか。
毎日考えて、
誕生日がきて、祝われる度、
申し訳なさに襲われていたのに。
中学三年の、誕生日。
あまりにも綺麗に笑いながら、
あいつは、俺に向かって。
｢誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとう！
乾くんに出逢えた人生に感謝！｣
その言葉に、救われたのかもしれない。
その言葉を、待っていたのかもしれない。
早く空っぽになって、
返すから、
戻ってこいよ、って。
早く帰ってこいよ赤音、って。
俺は俺を殺して、
赤音を戻そうとか思っても。
出来るわけもないけど。
また、今日も、今年も、変わらずに。
｢乾くん、誕生日おめでとう！！
生まれてきてくれて、ありがとう。
いつもは、九井くんもいるのにね。｣
乾｢ココなら、最初から、
追いかけてきてるだろ。｣
｢え、あれだけ行かないとか言ってたくせに！？｣
誕生日プレゼントなんて、いらなかった。
そんなもの、貰っても、
俺は何も返せやしないのに。
毎年、誕生日が来る度に、俺の心が死んでたはずなのに。
そうだ、あぁ、違う、そうじゃない。
ケーキ、ココが買ってくるケーキ、
それにはちゃんと、
俺の、青宗って名前が刻まれてたな。
あァ、そっか、俺。
乾｢俺、生きてていいのか。｣
溢れてしまう感情に、
涙に、何もかもに、蓋ができなかった。
目からこぼれる涙の意味もわからなくて。
｢いきてていいんだよォ、
乾くんはね、赤音さんの代わりになろうとか、
赤音さんに体を渡すとか、考えなくていいの。
乾くん、
生まれてきてくれてありがとう、
生きててくれてありがとう、
出会ってくれてありがとう、
誕生日おめでとう！！！！｣
その全てに俺は、救われたのかもしれない。
赤音、なぁ赤音。
ココとの約束があって、
俺はお前になれやしないし。
俺は、お前に体を渡すことも出来ないし、
空っぽにもなれない。
ごめん、赤音。
俺の居場所を形成して、
壊れないようにと、隣にいてくれる、
そんなやつを2人も俺は出逢えたよ。
赤音、赤音、…………………ごめんな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月兎(プロフ) - あぁもう涙…ほんと最高ですありがとうございます (2023年1月30日 6時) (
レス) @page16 id: 720c1829f9 (このIDを非表示/違反報告)
愚民 - 笑いあり、涙あり。最高すぎます🤦♀️更新楽しみに待ってますｯｯ！ (2022年7月20日 21時) (レス) @page20 id: 59cc64d62b (このIDを非表示/違反報告)
阿恵 - このお話の続きが見られて嬉しいです 更新頑張ってください (2021年9月16日 16時) (レス) id: f862afcdc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ことり
| 作成日時：2021年9月15日 14時
