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きちゃった。 ページ27

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奏斗くんから連絡が来なくなって、一週間以上経つ。だからこそ、もう何もかも気にしなくていい、って思った。クローゼットの中のカバンたちだって、使うこともないから、売ろうかなとか悩んじゃって。けど、買う時に嬉しそうな顔をしているのを思い出して、そもそも触ることさえ出来ない。触れたら、ダメな気がしているから。バイトから帰ってきて、明日は大学もバイトも休みだなって思って。寝てようかなて考えていれば、ピンポーンとインターホンがなる。誰だろ、と思いつつ、ドアをそのまま開けたのなら、久しぶりに見たあなたの姿。変わらないような服装で、けど少し違うとしたら頬に絆創膏をしていること。





風楽「ちゃんと相手が誰か確認しないと、」

「か、なとくっ、」

風楽「きちゃった。」

「連絡、してよ。」

風楽「連絡待っててくれたの?」

「さすがに心配なる。」

風楽「ごめん、ちょっとね。ちょっとだけ、こうさせてほしい。」

「…………部屋、入ればいーじゃん。」

風楽「いーの、」

「どうせ外、寒いでしょ。奏斗くん風邪引かせちゃうと、私が渡会さんに怒られちゃうから。」





緩やかな笑みを向けられる。まるで、いつも通りだって言うような。それを感じながらも、連絡してよ、って言うと、嬉しそうな顔で待ってたの?て問いかけられちゃう。心配してたのは本当の話。私のことを守ろうとして、腕を撃たれて、それなのになんであんなにも、平気そうな顔で笑って、当たり前だからと受け入れてしまうのか、私には分からなかった。やはり、渡会さんの言う通り、違うんだろうな、ってことを感じ取る。価値観も、考え方も、受け取り方や捉え方も、何もかも。それが、酷く悔しく感じつつ、ぎゅうって抱きしめられて。肩に顔を埋められては、ちょっとだけと言われる。




私は、私の両手は、決して彼の背中には回せやしなかった。




だから、部屋に入りなよ、ていうことしか出来ないし、怒られちゃうからって、言い訳を述べることしか出来なかった。そんな程に、私は何も出来ないことを知る。「お邪魔します、」て言葉の後に一歩踏み込まれては、部屋へと入る奏斗くん。そのあとは、他愛もない話をして、狭いようなベッドで二人で寝転がって。安心したのか、気が楽になったかは定かでは無いが、すぐに眠りにつく奏斗くん。寝る時も、私は奏斗くんの方を向いて寝ることは出来なかった。

君がいる朝とやら。→←君からの連絡が来なくて。



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そらの(プロフ) - すごく好きな作品です!更新頑張ってください! (2月12日 1時) (レス) @page28 id: 17ad6f88d5 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - パスワード解除ありがとうございます!ずっと待ってました!!! (2月8日 0時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
さくらなぎ。(プロフ) - この作品めっちゃ好きです…kntくん供給少ないので助かりました…これからもずっと応援してます…!! (11月11日 23時) (レス) @page10 id: 2b648593bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ことり | 作成日時:2023年11月11日 21時

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