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私は五条先生の言葉に疑問を持った。

「あれ…でも、毒ならその男の子は今…」

ハッとして顔を歪ませれば、五条先生の手が肩に乗る。

「んー、Aは優しいね でも、安心していいよ、彼は生きてるから」

「え、そんな…魔術師でもないのに……っ!そういうことか…」

「多分今思い浮かべてるのが正解だよ」

途中まで口に出して閃く。

魔術師ならば魔道具を触ってもまず、死 ぬことは無い。

非魔術師にとって毒物であるそれは、魔術師か魔物、もしくはそういうもの(・・・・・・)に耐性がある者のみ、魔道具の毒が効かない。

「その男子は、耐性があった……」

「大正解、彼は無事…とまでは行かないけど、両面宿儺が受肉したおかげで死を免れた。まぁ、魔術師規定では魔獣と化した彼は秘匿死.刑なんだけど、生徒思いのグッドルッキングガイな僕が、恵の可愛い我儘を聞いて執行猶予をつけた」

「その期間は?」

短期間で詰め込まれる情報を噛み砕きながら理解する。

「僕らが指を全て見つけて、彼が全てを取り込んだときまで」

「っ…」

その時がいつかはわからないけれど、私と変わらない年齢であろう彼は、必ず私よりも早くこの世を去る。

「ま、上のおじいちゃん共はビビりちゃんばぁっかだから、今すぐ殺 せって言ってくるし、全部の指を取り入れる前に彼が両面宿儺に体を完全に乗っ取られたらそこで殺 さなきゃいけないんだけどね〜」

物騒。

なるほど、あとの運命は彼のその精神を保っていられる時間か、指を見つけるまでの時間ってこと…。

なんだかなぁ…。

話を聞いては、今から会うだろうその彼に少しだけ、不憫だなぁ、なんて気持ちが湧いていた。

「さ、着いたよー」

「ここ、ですか……」

「そうそう」

歩いて辿り着いたのは、火に燃やされた何かにより発した煙がのぼる、火葬場。

恐る恐る五条先生と、伏黒くんの後ろを着きながらひとつのベンチの前に立ち止まる。

「や、久しぶりだね悠仁」

「…五条先生、伏黒…っと…誰?」

俯き気味に座っていた短髪パーカーの少年に五条先生が隣に腰をかけてそう声をかければ、私たち、主に私を見て驚いたように目を見開いた。

「悠仁と同じく魔術師を目指す仲間だよ」

「えっ…と、」

先程の話を聞いた限りでは分からなかったが、本当にただの男子高校生だ。

純粋そうなその瞳に見つめられ、思わずグッと奥歯をかみ締めていた。


………

9:とんでもない可能性→←7:魔道具



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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/  
作成日時:2019年8月24日 14時

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