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6:五条先生 ページ6

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可愛子ぶりっ子みたいに拳を口元に当ててハートを飛ばした五条先生。


「………え?」

「はぁ……」


何を言っているのかよく分からなくて、首を傾げると、再び隣でものすごく飽きれたため息をついた伏黒くん。


「もういいでしょ、とりあえず行きますよ」

「ええー!恵ぃ、もう少しだけ調べさせてよ〜!」

「ダメです、時間に間に合いません」

「ちぇっ、恵のケチ〜」


ケチでもなんでもいいとかなんとか言って、スタスタと歩みを進める伏黒くんの後ろを小走りに追いかける。


「ん〜?それより、A、どうしたの?」

「え?何がですか?」

「(無意識か……)んー、まあ気にしないでよ」


ひらりと手を挙げて笑顔を張りつけた五条先生はそのまま、伏黒くんの前へとあゆみ出た。

門の端に辿り着くと、伏黒くんが下がってろ、と私を制す。


「…うわ、っ」


五条先生が門に近づき、手をかざすと、淡い水色の光を放ちながら、門が鈍い音を立てながら開いていく。


「よしっ、僕に掴まって〜」

「え」

「…仕方ないから、掴まるぞ」


えええ…

私の発した声に伏黒くんが困ったようにそう言う。

ちょっと嬉しそうに拗ねている五条先生の差し出した右手に左手を重ねると、暖かい人肌の温もりを感じる。


「それじゃ、行きますか」

「!!!」


ブゥンッというコンピューターの起動音のような音を聞いた次の瞬間には、商店街の賑わいのある喧騒に耳が包まれた。

五条先生越しにその風景を見てみると、見慣れない土地の、駅前。


「っ、え!?」


特に驚く様子のない伏黒くんと、私の反応に嬉しそうに頬を緩める五条先生。


「どうどう?今の僕の魔法で転送したんだよ?すごいでしょ、かっこいいでしょ」


自信満々に買ってもらったおもちゃを自慢する子供の様に、目をキラキラさせながら私の顔を覗き込む五条先生。


「そ、それはすごいですね……!」


某RPGの魔法みたいだなぁ。

五条先生の推しに引きながらも、ドキドキワクワクしていると、ため息をつく伏黒くん。

そんなに頻繁にため息してると幸せなくなるぞ。


「軽い転移魔法ならどんな魔法使いでも使える。五条先生と同じようにするときは…魔力量が多くなきゃ死 ぬけどな」

「ひぇっ、こわ〜」


恐ろしいことをすました顔で言うものだから、さらに怖い。

便利だからって乱用しちゃダメなんだな…なるほど。


………

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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/  
作成日時:2019年8月24日 14時

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