太宰さん愛情表現が激しすぎます。【短編集】

プロローグみたいなやつ ページ1

彼女と出逢った時、世の女性を口説く様な、軽い感情ではなかった。

彼女しか、視れなくなって仕舞った。



「.....緑川....Aです....」


その壊れてしまいそうな華奢な躰。

透き通る翡翠色の眼。


『太宰さん？如何しました？』

賢治君が不思議そうな顔をして問うたので、はっと意識が戻って、


『あ、嗚呼...なんでもないよ。』



そんな恋だった。




Aside



強くて、賢くて、顔もよくて、優しい。


福沢さんに、探偵社に来ないか。と誘われ、彼は云った。

『我が武装探偵社は...少しばかり変わり者が多くてな。特に太宰....後に解る。』

「へぇ.....」



探偵社に入社して、数週間経ったある日。

『Aちゃん.....す、すこし席を外して？』


「善いですけど...如何しました？｣





其の時は、冬で、とても寒い中、


或る公園で、彼は云った。


『好きだ....Aちゃんの事が....好きになってしまったんだ...私の恋人に成って呉れないかい...？』



太宰さんは顔を紅くして、真剣な眼で云った。



「........はい。太宰さん。」


返事を聞いた途端、彼は私を抱きとめて、耳許で囁いた


『しくじった....惚れてしまった....






愛してる。』

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