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「どうしたの…？傷だらけだけど、怪我？」
「あ、これ…？べ、別に大したことじゃないから…き、気にしないで…」
そう言われた私は詮索するのをやめた。
人間、誰しも詮索されたくない過去はあるものだ。
ご多分に漏れず、私もそのタイプだった。
だから、普くんの気持ちも分かった気がしたのだ。
「ああいや、ごめんね。私もそんなつもりで言ったわけじゃないから」
と言いかけた所で、後ろから声がした。
「あー！こんな所にいたんだ！」
「つ、つかさ…」
「オンナノコと何してるの？デート？」
「ちが、これは…」
突然現れてきて誰かと思えば、普くんの双子の弟の柚木つかさくんだった。
本当に、性格以外は瓜二つだった。
性格以外は。
「デートじゃないの？じゃあ他の人には言えないコトしてたんだね〜」
「だから！」
「…あの、何か勘違いしてるみたいだけどね、私は普くんに助けてもらっただけなの」
見ていられなくなってついに口を挟む。
「そうなんだ！オレは柚木つかさ！よろしくネ！」
…きっとこれは聞いていない…厄介なことになる前に帰ろう、と思ったけど、そうは行かなかった。
「ワー、キレイな髪の毛ダネ！」とつかさくんは私の髪の毛をくるくるといじり始めた。
「わー！ご、ごめんなさい…ほら…つかさ、離せって…」
「じゃあ、あまねがオレと遊んでくれるノー？やった〜！」
「いや、だから…」
何だか微笑ましい。
兄弟とあんなに仲が良いなんて。
羨ましい…
「2人って、仲良しなんだね」
「え、いや…別に、」
「そうなんだよネ〜！だから、オレあまねのことな〜んでも知ってるんだ！」
「へぇ、凄いね…私は姉妹の仲が良くないからちょっと羨ましいよ」
実際、私は妹との折り合いが良くなかった。
「あ、もうこんな時間、帰らなきゃ」
「エー、帰らなきゃなの？…あ、まだナマエ聞いてない！」
つかさくんは私にそう言った。ああ、まだ自己紹介してなかったっけ。
「私は鶯坂Aだよ」
「ふ〜ん、Aネ！覚えた！」
「じゃ、じゃあね、鶯坂さん！」
そう言って普くんはつかさくんの手を引いて帰っていった。
「じゃーね、A！また一緒に遊ぼーネ！」
段々遠くなっていく声をすこし淋しく感じる。
不思議なものだ。
私は彼らと作り笑いを少なく、ありのままで話すことができた。
私は、家へ帰る道を、歩き出したのだった。
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