12話 ページ12
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ーAside
「あ、え・・・・・・。」
口からはそんな声が漏れる。
どうして、彼がここに居るのか。
どうして、彼は私の名前を知っているのか。
どうして、私に声を掛けたのか。
頭には疑問だらけで、額から汗が垂れていたことなんて気づかなかった。
菅原)『それ、手伝うべ。』
しばらくの沈黙の後、私の持っていたノートへ指差した。
「え、や。悪いからいい、」
手伝ってくれることに嬉しさを感じたのは本当なのに、またこうやって思ってもないことを言う。
だが、君は
菅原)『半分だけ。な?』
なんて言い、私から半分ノートを持ち上げた。
大分軽くなった私の手元。
暑さは感じるのに先程とは全然違う。
でも、
心臓の音が早くなった気がする。
私と彼との間には沈黙が流れていて、横目で彼を伺えば、口を開けたり、閉じたりして落ち着きのないように見えた。
緊張していたのは私だけではない・・・・・・?
そこで私は聞きたいことが沢山あったことを思い出し、口を開く。
「あ、のさ。」
普段、私から会話を仕掛けることなんてないのに。こうやって勇気が出たのもきっと君だから。
声の調整がイマイチ鈍い所為か、少し声を張ってしまった。
菅原)『ん、?』
また違った角度から見る君は、時々格好良いと思ってしまう。
・・・・・・あ。
こっち、向いた。
ぼーっとする頭は真夏の所為、?
菅原)『もう、なんだよー笑』
少し笑みを見せた彼と、軽く肩が当たり合う。
ようやくここで我に返ったが、話の内容が全て飛んでしまった。あぁ、こんなつもりじゃないのに。
「・・・・・・あ。ごめ、なんだっけ、」
こういう時に限って正直に言ってしまう私の口。本当、恨む。
菅原)『ははっ、なんだよそれ。』
だが、君は気にしていないよう。
下を向いて無邪気に笑う君に、心臓が落ち着かない。
ろくに繋がらない私達の会話だが、君は私に波長を合わせている、気がする。
会話は苦手だし、愛想は無いけど。
こんな私を構ってくれて、単純に嬉しかった。
菅原)『あ、そうだそうだ。』
そしてここで君が新しい会話をつくる。
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作者名:充電アダプタ | 作成日時:2021年4月11日 14時