検索窓
今日:22 hit、昨日:17 hit、合計:211,271 hit

No.2 ページ7




No side.



Aが黙々と考え込んでいると、不意に扉が開く。


「おや、目覚めていましたか」




入ってきたのは露西亜帽をかぶった細身の青年だった。


「お加減はどうです?体に不調はありますか?」

優しい声音で気遣ってくれる彼の問いに、Aは答える余裕がなかった。


どこかで"見たことがある"_____。




Aは必死に過去の記憶を遡る。

長めの黒髪に、光のない紫水晶の色をした瞳。

次の瞬間、カッと目を見開き顔を強張らせたA。

そんなAの反応に彼は、意外そうな顔をした。




(間違いない。あの時資料保管庫で見た写真通り__。

確かその人物の名前は "ドストエフスキー"____)




「僕の正体を思い出していただいたところで…」

「何が目的ですか」

言葉をかぶせるように質問をするAに、彼__ドストエフスキーはあやしく微笑む。



「目的、ですか__」


そう言ってAの目の前にしゃがみ込み、彼女の頬に触れるドストエフスキー。

少しざらついた手から伝わる冷たさにAは怯える。










「ただあなたが欲しかった___、それだけです」






No.3→←No.1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (152 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
294人がお気に入り
設定タグ:文スト , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ルビー - 乱歩さんの片想い、最高でした。自由な感じですごい人だけど、そういうところは真面目に身を引きそうなところが、胸に刺さりました。 (10月11日 19時) (レス) @page19 id: 39c076b3bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 少し不安だったので、気に入っていただけたようで安心しました(*'▽') (2020年8月15日 20時) (レス) id: d1231379db (このIDを非表示/違反報告)
嘘つきピエロ - ハルさん» ゴーゴリの書いてくださり、ありがとうございました!めっちゃ可愛くて独り騒いでました (2020年8月15日 17時) (レス) id: f059c2a2b0 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - ご満足いただけたようで何よりです(#^^#)安吾さんのお話は、まだまだありますので楽しみに待っていてくださいね!勿論、嫉妬深い説もネタがまだ載せてない分がありますので(笑) (2020年8月14日 0時) (レス) id: d1231379db (このIDを非表示/違反報告)
なぞにん - 安吾さんの夢小説リクエストした者です。わざわざ書いてくださりありがとうございました!嫉妬深い説シリーズ好きだったので嬉しかったです。また「禁句にご注意を」のネタも入っていて良かったです!長々とすみません、これからも作者さんの小説を楽しみにしています! (2020年8月13日 23時) (レス) id: b4cf29585e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハル | 作成日時:2020年7月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。