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No.2 ページ30



シグマ side.



私は今、管理室の扉の前にいる。

書類の確認をしていた時、ある客のデータが必要になったため出向いたのである。




が、扉を開けようとしたのだが…開かない。



ドアノブは捻れるが、ほんの少し隙間ができるだけでそこから開かなくなっていた。

誰の仕業かは、一瞬で分かった。考えるまでもない。


実はこの状況、初めてではないのだ。


これは中にいるであろう彼女が怒っているサイン。


…そんなバカな、と思うかもしれないが本当である。

彼女は怒ると、この管理室に閉じこもり自身の異能で紙を貼って入口を塞いでしまうのだ。




私はいったん執務室に戻って、ペーパーナイフを持ってくる。

もう一度ドアノブを捻り、隙間を作ってから紙と紙の間にナイフを差し込んだ。

下に向けて押すと、びりッと紙の切れる音がする。

そのまま、扉に張り付いた紙をすべて切り裂いた。



開くようになった扉を開け、中に入ると大量の書類の山が出来ていた。

その山の隙間からこちらを見ている彼女に声をかける。




「A、すまないが…」




この客のデータが欲しい、と彼女のデスクの前に立ち書類を見せた。


彼女はその書類を2,3秒見てから、ある書類の山に向けて手をかざす。

すると山の中から、一束の書類が抜き取られた。

その書類が私の前にすっ、と出される。




「ありがとう」

そう声をかけると、彼女は何事もなかったかのように再びキーボードを叩きだした。


…何が理由で怒っているのだろうか。




「…怒らせるようなことをしてしまったか?」




「…別にィ」





彼女は作業を続けながら、そっけなく言い放った。

それから、それとなく聞いているが全く答えてくれる気配がない。




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ルビー - 乱歩さんの片想い、最高でした。自由な感じですごい人だけど、そういうところは真面目に身を引きそうなところが、胸に刺さりました。 (10月11日 19時) (レス) @page19 id: 39c076b3bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 少し不安だったので、気に入っていただけたようで安心しました(*'▽') (2020年8月15日 20時) (レス) id: d1231379db (このIDを非表示/違反報告)
嘘つきピエロ - ハルさん» ゴーゴリの書いてくださり、ありがとうございました!めっちゃ可愛くて独り騒いでました (2020年8月15日 17時) (レス) id: f059c2a2b0 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - ご満足いただけたようで何よりです(#^^#)安吾さんのお話は、まだまだありますので楽しみに待っていてくださいね!勿論、嫉妬深い説もネタがまだ載せてない分がありますので(笑) (2020年8月14日 0時) (レス) id: d1231379db (このIDを非表示/違反報告)
なぞにん - 安吾さんの夢小説リクエストした者です。わざわざ書いてくださりありがとうございました!嫉妬深い説シリーズ好きだったので嬉しかったです。また「禁句にご注意を」のネタも入っていて良かったです!長々とすみません、これからも作者さんの小説を楽しみにしています! (2020年8月13日 23時) (レス) id: b4cf29585e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2020年7月26日 22時

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