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No.2 ページ22






「他には?」




どうやら追及の手は緩まないようだ。

彼の嫌いな人__ 末広鐵腸さんに会った、と言えば間違いなく機嫌が悪くなるだろう。

帰宅する途中に散歩中の彼に会い、10分程度話しただけなのだが。

…それだけで匂いってつくものなのだろうか、恐るべし条野さんの嗅覚。。。



「…なるほど。しらを切るつもりですか?」



彼は黙っている私の方を向きニコリ、と怖い笑みを浮かべた。




「"尋問の達人"と言われた私にその選択をするとは__」




いい度胸ですね、と浮かべていた笑みをさらに深くする。




おっと。これは非常に不味い事態となってしまった。




私は座りながら、そっと後ろに下がる。

条野さんは後ずさる音が聞こえたのか、私の肩を抱きグッと引き寄せた。

ぎゅうッと抱きしめ、また匂いを嗅ぎ始める条野さん。

私の渾身の抵抗を易々と抑え込みながら、何かに気づいたように私を見る。



「やっぱり。色々な匂いが混ざって分かりずらかったですが…。








_________この匂い、鐵腸さんのですよね?」






思わずビクッと肩が上がってしまった。

そんな私の反応で、条野さんはふふ、と笑う。


「心音を聞かなくても分かりやすい、可愛らしい反応ですね」



その言葉を聞いて機嫌が悪くならずに済んだのかもしれない。

そう思って安心していたが、どうやら考えが甘かったようだ。



「さぁ、しっかり経緯を説明してくださいね?」



私の両頬に手を添えて、上を向かされる。

そこには明らかに機嫌の悪そうで、少し拗ねた条野さんの顔が目の前にあった。





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ルビー - 乱歩さんの片想い、最高でした。自由な感じですごい人だけど、そういうところは真面目に身を引きそうなところが、胸に刺さりました。 (10月11日 19時) (レス) @page19 id: 39c076b3bd (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 少し不安だったので、気に入っていただけたようで安心しました(*'▽') (2020年8月15日 20時) (レス) id: d1231379db (このIDを非表示/違反報告)
嘘つきピエロ - ハルさん» ゴーゴリの書いてくださり、ありがとうございました!めっちゃ可愛くて独り騒いでました (2020年8月15日 17時) (レス) id: f059c2a2b0 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - ご満足いただけたようで何よりです(#^^#)安吾さんのお話は、まだまだありますので楽しみに待っていてくださいね!勿論、嫉妬深い説もネタがまだ載せてない分がありますので(笑) (2020年8月14日 0時) (レス) id: d1231379db (このIDを非表示/違反報告)
なぞにん - 安吾さんの夢小説リクエストした者です。わざわざ書いてくださりありがとうございました!嫉妬深い説シリーズ好きだったので嬉しかったです。また「禁句にご注意を」のネタも入っていて良かったです!長々とすみません、これからも作者さんの小説を楽しみにしています! (2020年8月13日 23時) (レス) id: b4cf29585e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハル | 作成日時:2020年7月26日 22時

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