【文スト】私得すぎる物語集

No.1 ページ2

夜特有の静けさのある深夜2時＿＿。

(…喉、渇いた。)

喉の渇きにより目覚めたA。

何か飲もう、と思いベットを下りて部屋を出ようとドアノブに手をかけ、ふと考える。

(流石に、寝ているだろう)


同居人であり、一応夫でもある条野採菊のことを思い浮かべた。

お互い組織のために政略結婚をし、同居し始めて2週間が経とうとしている。

Aは結婚相手である条野採菊をいまだに避け続けていた。

知り合ってから2週間しか経っていないから、というのもあるだろう。

仕事で2人の時間が合わず、お互いが落ち着いて話す時間がないのも理由かもしれない。

Aにとって条野は”探偵社の皆を傷つけた人”という印象しか抱いていなかった。



色々考えた結果、異能を使い気配を消してから部屋を出た。

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キッチンに着くと棚からいつも使っているコップを取り出し、蛇口を捻る。

(早く飲んでさっさと戻ろう)

そう考えながらコップに口をつけ、ゴクゴクと飲んでいた。



「こんばんは」



思わず飲んだ水を吹くところだった。

背後から一番警戒していた人物の声がして、体が一気に固まる。

「すみません、驚かせてしまいましたか」

今度はもっと近く＿＿耳元であの人の声が聞こえる。

(固まっている場合じゃないっ…！)


頭の中が”逃げる”という単語で支配されたAは自室へ逃げ込むべく、

回れ右をして走り出した…

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