記憶の波紋。 ページ28
グランに手を引かれ、廊下を歩きながら脳を支配している記憶をわかる範囲で話していく。
あの日、隕石が降ってきた。それが始まりで……。お父様の為に皆から笑顔が消えて大好きなサッカーは忌むべきものになって。
最後まで笑顔でいてくれた、リュウジ……ううん、レーゼから光が消えたあの時。
私は、イプシロンに単身で挑み無様に負けて。
「バーン様に追放された……」
「うん、正しくは追放じゃなくて謹慎だったんだよ」
「……え？だって、敗者はプロミネンスに必要ないって。いらないって…」
立ち止まったグランは、振り向いて笑った。やっぱり目は笑えてないけど。
「勝つまで挑めって事だったんだよ。でも君は諦めたろ？」
「……あんなに、身も、心も、痛み付けられて……バーン様に見捨てられて。それで、もう一度デザームに向かうことは出来ないよ」
あの、狭い空間で、イプシロンに敗北した私に怒り狂ったバーンは幾度となくボールを蹴り続けて。
気を失えば、痛みにより目を覚まして。
何度も、何度も……。
「そもそも、レーゼの為に力を貸してって言ったのに……あの人は手を振り払った…」
「それは君がいつもレーゼのことばかりだから」
グランの手を振り払い、睨みつけた。
「こんな、こんな生活で！唯一……レーゼだけが唯一変わらなかった！だから！守りたかったのに！それだけなのに……っ」
「君だって変わったじゃないか」
その言葉に、グランを見上げれば
さめざめとした表情が、体を強ばらせていく。
「思い出してくれないの？君が言ったんだよ？」
グランの手が、伸びて、首に触れる。
「何があっても、そばに居るって」
大きな、騒音が頭に鳴り響けば。
ぐにゃりと歪んだ世界に、もう、表情のわからないグランが
消えていく。
あの日、全てを諦めて。
皆のために、笑って、走って、
お父様に、もうやめてってお願いをして……。
ぼろぼろになった、レーゼが言ったんだ。
もう、こんな、生活は嫌だって
もう一度昔みたいに、皆で笑いあってサッカーしたいって。
泣いたから。
「守りたかったのに……私が、レーゼを……苦しめたの、」
「そうだ、お前が。笑わなくなって、レーゼは全てを切り捨ててレーゼになったんだろ」
重たい瞼を押しあげれば、バーンがそこにいた。
ここはどこだ。
ベッドに横になっていることはわかるのに、鉛のように重たい体はぴくりとも動かなくて。
「なのにお前は、あんな人間の所で笑いやがって」
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
